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普通の代償 6
「こ…こわかった……」
「そうよな…あんな事するなんてな……」
イヴィトはため息を付きながら、涙で濡れているヴェネッタの頬を手の甲で撫でてくれた。
危機が去ったのだと思うとようやく安堵できたが、彼に迷惑をかけてしまったとヴェネッタは慌てて眼鏡を押し上げて涙を乱雑に拭った。
「も、申し訳ない…自分の問題なのに、た…助けてもらって……」
「それはいいけどな…あんな人達に付き纏われとるん?」
「う…うう…仕方がないんです…
じ…自分の名義で金が借りられているのは本当ですから…」
「……そんなに何に使ったん?」
「さ…さぁ……親がした事ですから……」
ヴェネッタは苦笑しながらも、壁に手をついて立ち上がった。
とはいえあんな事をされるとは夢にも思わなくて。
「…自分は器量がと思っていましたが…案外誰でもよいという人はいるんですかね…
もしかしたら…す…少しは足しになるでしょうか……」
「何言っとんの!?ダメに決まってるやろ!」
イヴィトに怒られて、で…ですよね…、と苦笑する。
もう少し美しくて度胸があれば、500年かかる借金も200年くらいには減らせたのかもしれないけど。
やっぱり地道に魔道具をメルカったり工場でバイトをするしかなさそうである。
「し…しかしイヴィト殿は法律にお詳しいんですねぇ…!
自分金を集めるのに必死で勉強なんてさっぱりで…」
「イオンのこと手伝っとって、ちょっと勉強してみよう思うただけや。早速役に立って良かったけど…」
「そ…そうなんですね…」
イヴィトは最近、ヴェネッタのお世話になっている財団の雑務を手伝っているらしかった。
ヴェネッタがイヴィトと知り合ったのもその財団の代表であるイオンを介してだし、元々友達らしく二人は大体一緒にいるので
ヴェネッタも顔見知りになったのだ。
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