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栄華の残骸 1

ヴェネッタは今は大いに金に困らされているが、その昔テガボ家はそこそこな資産を築いていた貴族だった。 ヴェネッタの祖父なんて立派な子爵をやっていて、皇帝から直々に勲章を貰った事もあるらしい。 その祖父が建てた屋敷もかなり立派なものだったが、今は廃墟同然と化している。 テガボ家が落ちぶれた家になったのは、 ヴェネッタが生まれる少し前のことだ。 立派な祖父から子爵を受け継いだヴェネッタの父、テガボ子爵は祖父ほど優秀では無かったが 役所勤めで普通に穏便に暮らしていた男だったらしい。 伴侶とは見合いで婚姻したものの関係は良好で、第一子を授かった時にはそれはそれは家は喜びに包まれたという。 早速巨大な肖像画を描かせたくらいには。 だけど、喜びは長く続かなかった。 第一子は不治の病に倒れ、莫大な治療費を注ぎ込んだ甲斐もなく5歳になる前にその短い生涯を閉じてしまった。 家は悲しみに沈み、その頃から少しずつ子爵は荒れ始め伴侶との関係にも亀裂が入り始める。 子爵は酒に浸るようになり、伴侶はあまり家には帰らず遊び歩き、顔を合わせる度に言い争いが絶えなくなった。 そして、最愛の息子が他界してから2年後のこと ヴェネッタが突然産まれてしまったのだ。 本来ならまた子どもを授かったと喜ぶべき所が、そうはならないほどテガボ家には少々大きな悲しみが巣食っていた。 身に覚えのないことだとお互いがお互いの所為だといい、ついに子爵は伴侶に手を上げた。 そして伴侶は家を出て行ってしまった。 故にヴェネッタはもう1人の父親の顔を知りもしないのだ。 かつて撮ったであろう家族写真も、肖像画も、全部全部切り刻まれているようだったから。 ヴェネッタが物心ついた時、とにかく屋敷は荒れ果てていて 父親は酒の匂いを常に漂わせ、いつ帰ってきているのかも分からないような状態だった。 家には毎日借金取りや怪しげな男達が訪ねてくるので、ヴェネッタは絶対に顔を出すなと言われていたから いつもクローゼットの中に隠れて怯えていた。 父親は機嫌がいい時はヴェネッタの頭を撫でて、お菓子のようなもので気を引こうとするが 酒を切らすと手がつけられなくなって、お前の所為だ、と言って殴られたりした。 ヴェネッタの名義で借金がされている事も子ども頃から言われ続けており、お前の面倒を見るためのものだった、などと責められて 子どもながらに半分は本当かもしれないが、多分半分は嘘だろうと思っていた。 でも殺されないだけありがたいのかもしれないとか、内臓を売られるよりはマシだと自分に言い聞かせて ヴェネッタは成人してもどうにか自分名義の借金を返そうとしていたのだった。

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