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500年の清算 2
最近ヴェネッタは高額な学費を免除にしてくれたイオンの財団を、お礼にならないくらいかもしれないが、と思いながらもイヴィトと共に手伝っていたのだ。
財団についての案内DMを作ったり、寄付をしてくれた人へのお礼の手紙を書いたりとちょっとした内職作業みたいな感じだったが
コツコツ作業は別に嫌いでは無かったし、高額な学費が免除された分働く必要が無くなったので空いた時間を彼の会社の手伝いに充てているのである。
様々なことがあり、次期皇帝の婚約者の座から引き摺り下ろされたレンシアはイオンと同室になったらしく
その所為か否かなんだか最近2人の関係はいい感じのようだった。
「もう…お腹でも空いたのですか?」
「う、うーん…そっすね……でももう少し頑張ります…」
イオンはようやく自分の作業に戻っていったが、レンシアは彼をちょっと心配そうに見つめた後、また勉強に戻ってしまった。
だけどそうやって2人で並びながらもそれぞれ別のことをやっている雰囲気がなんだか見ていて目に優しいような気がして
ヴェネッタだけが作業ができずに何故か両手を合わせてしまう。
「尊……」
「どこが…?」
拝んでいるとイヴィトに普通にツッコまれてしまうのだった。
「…レンシア様は永遠に美しいけど…今の雰囲気…好きだな…」
ヴェネッタは拝みながらつい本音を小声で漏らしてしまった。
エルメーザの隣に居た頃のレンシアは、どこか冷たい印象で、威厳があってそれはそれで国の重要人物といった感じで格好良かったけど
今の愛されオーラがダダ漏れている彼は柔らかい雰囲気で、自然な笑顔も増えたように見えるし、
イオンに向ける眼差しはどこかメロついていてちょっと隙があるような、余裕があるような。
優しさに溢れているみたいで。
いいな、と思ってしまうのだった。
ヴェネッタはどこかで、もしかしたら、“大天使”という存在を知らなかったら
自分はあっという間に父親達のような存在になっていたかもしれないと思ってしまっていた。
沢山の不幸が重なって、もしかするとその一端を自分が担っているのかもと思うと父親達が一概に悪だとは言えなかったが
あんな風に何も信じられないような存在になるのは少々抵抗を感じてしまうから。
だからヴェネッタは、レンシアという存在にも“大天使”という存在にも感謝をしていたし、
彼が愛に溢れて生きているのを眺めていると、どこか世界に対して安心のような気持ちを持てるようになれる気がして。
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