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500年の清算 3

「あーどっこいっしょ」 おっさんのような言葉を放ちながら勝手にレンシアの隣に座ったのは黒髪眼鏡の生徒だった。 表情の読み取り辛い分厚い眼鏡を掛けていて、髪はちょっとぼさっとなっている。 彼はかつてヴェネッタが学園内で秘密裏に魔道具を売り捌いていた頃の顧客、ローラだった。 「なんだここは?自習に仕事にって…刑務所か?」 机に肘をつきながらも太々しい態度を取っている彼もまた、イオン達と友人らしく最近よく顔を合わせる生徒だった。 「ローラさんも宿題とかして良いのですよ?」 レンシアはそう言いながら広げていた本を少し整理して彼のための場所を開けている。 「バカ言え。あんなものは授業中にさっさと書いてその日のうちに提出して帰るもんだ 点数とスピードで合計10点貰うよりもスピードだけで8点もらった方が得だろうが」 「持ち帰って改めて復習をするのが宿題の意味であって…それだと宿題の意味がないのでは…?」 「俺は面倒事は持ち帰らない主義なんでね」 「主義というか…意義というか…?」 「まあそういうな。レンしぃも少しばかりズルを覚えた方がいいぞ?」 「ズルって言ってるじゃないですか……」 レンシアは正論で諭しているが全然ローラには刺さっていないようだ。 「それより、だ。おいヴェネッタ」 「ひゃ、は、はい??」 急に呼ばれてしまい、ヴェネッタはびくびくと怯えながらローラに顔を向けた。 彼は不機嫌そうな顔で睨んでいる。 「正門前でお前を探しているという男に絡まれたぞ? 妙にペラついたスーツを着ていて明らかにカタギとは言い難い風体だった」 「え…あ……」 ヴェネッタはきっと借金取りだろうと予想し、思わず背中を丸めてしまう。

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