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複雑な満了 1
人生の目的なんてこれっぽっちも見出せないのに、目の前にやる事は山積みだ。
返済日までにどうにかして金を掻き集めて、その為のタスクはいくらやっても終わらない。
時々死んでしまった方が楽なのではという悪魔的な囁きに傾いていきそうな自分を、どうにか立て直して
ヴェネッタは困窮しているからとなるべく他人から奪うようなことはせず
“大天使”の言葉を胸に、信奉者として恥じないようにと生きてきたのだ。
以前、切羽詰まって金羊から毛を毟り取ろうとした時
レンシアが現れてめちゃくちゃに怒られてしまったことがあった。
だけどレンシアは、怒った後はちゃんと合法的な手段で金羊の毛を手に入れる算段をつけてくれて、尚且つ自分も汗水を垂らして共に働いてくれた。
その時に、やっぱり“大天使”は自分を清く正しい道へと導いてくれていると確信してしまった。
ヴェネッタはそれ以来心を入れ替えて、懸命に働きちゃんとすべきことをしようと
借金を少しずつでも返済していくんだと思っていたのに。
嘘、だったのだろうか。
そもそも、名義はヴェネッタとはいえ親が勝手にした借金だった。
それでも支払い能力のない親がかけた迷惑をせめて少しでも返せるならと思っていたのに。
ヴェネッタはなんだか複雑な気持ちになって、ベッドに横になっても眠れずにいて
天井を見上げながら涙を滲ませていた。
自分は一体なんのために生きているのだろう。
お前なんていなければ、という父親の言葉がやっぱり、本当、で。
自分のためだ、なんていうのが50%どころか、100%の、嘘?
別に信じていたわけではないのに、分かりきっていることなのに。
なんだか悲しかった。
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