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普通の悩み事 3
「あ。せや。先輩日曜日あいてる?」
「え?あ…?にちようび…ですか?」
「うん。予定とかある?」
「い、いやいや…全然何もないです…!空いてます!ガラ空きです!」
「そっか。じゃあ俺、予約なー」
イヴィトはそう言ってニコッと笑った。
ヴェネッタはその笑顔をつい呆然と見つめてしまって、よやく…、と口の中で転がす。
大した用事ではなくて、きっと何かの作業なのかもしれないけど
そんな風に言われると変な、むず痒いような感じがしてしまって。
「忘れんといてな?」
「ま、まままさか…忘れるわけないですよ!
や…約束を破ったらどんな恐ろしい目にあわされるか身を持って知っておりますからね!」
「そんなことせーへんってー」
だけどヴェネッタは念の為ポケットからメモ帳を取り出して、日曜日イヴィト殿、と書いておいた。
最近は自社開発の無限ペンが自分で作っておきながら便利すぎて、ヴェネッタはメモを持ち歩いているのである。
「よ、よし。ちゃんと書きましたからもう忘れませんぞ」
ヴェネッタはそう言って得意げにメモを見せてあげた。
「ふふ。ヴェネッタ先輩って字、綺麗やね」
「え?そ?そうですかね?」
「うん。教科書の字みたいや」
イヴィトはメモに顔を近付けてにこにこと笑っている。
メモに顔が近いということは自分にも近いという事で、と気付くと彼の紅茶色の瞳がそこにあって
ばちっと目が合うと、ヴェネッタはついつい息を呑んでしまう。
そして何故か顔が熱くなってしまうのだ。
「……どしたん?」
どうしたかなんてこっちが聞きたいくらい、ヴェネッタは自分でも訳がわからなくなって
慌ててフードを被って顔を隠した。
「…ありゃ?また心閉ざしモードになってもうた…」
イヴィトは呑気に呟いているけど、ヴェネッタはフードを握りしめたまま震えていた。
心臓が意味が分からないくらいドキドキ騒いでいるし、顔は発火したみたいになっているし。
きっと真っ赤になっているに違いないのだ。
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