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普通の悩み事 5

3人はいつもの食堂の端っこの席に食事を運んできて腰を下ろした。 「春休みどうやった?リチャーデルクス家の大屋敷に行って来たんやろ?」 「ええ…とっても広くて驚いてしまいました」 レンシアはどうやら春休みにイオンの実家に一緒に行っていたらしい。 最近イオンとレンシアの2人は婚約をしたらしいのだが、世間的にはまだ非公開情報なのである。 「確か…山奥にあるやんな?」 「そうなのですよ。山のほとんどが全て敷地らしくて… うろうろしたら遭難してしまいそうでしたよ」 「ご両親にも会えた?」 「ええ…叩き出されないかとすごく緊張しましたが…とても歓迎してくださって… ふふ、お2人共背が高くて…さすがイオンさんの親御さんだなって」 「あー。そういや親の遺伝って言っとったなぁ…巨人族なん?って聞いた覚えが…」 「囲まれてお話ししていたら首が痛くなりました」 イオンの話をしている時、レンシアの纏う空気は柔らかくて、いつもよりずっと綺麗に澄んで見えた。 ヴェネッタは恋愛などはまるで自分には無関係だと思っているけど、信仰している彼が幸せそうだと自分まで幸せに思えてしまう。 レンシアは何度も辛い目にあったようだったけど、今は幸せそうにしているから余計に。 「俺なんかに…イオンのことよろしくねって言ってくださって…」 「……よかったなぁ、レンシー…」 イヴィトの言葉にレンシアは少し泣きそうな顔で頷いていた。 その顔は本当に幸せそうで、ヴェネッタも思わず泣いてしまいそうになるのだった。

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