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普通の悩み事 6

「お2人は?」 「うん。俺もちょっとだけ実家帰ったで」 「…じ…自分はずっと学園にいました…」 ヴェネッタは一応実家はあるものの、学園の方が快適なので学園へ来てから一度も帰ってはいなかった。 それに父親が居るのかどうかもわからないし、居たとしても顔も見たくないだろうから。 ヴェネッタは別に気にしてはいなかったが、2人が心配そう見ていることに気付き 慌てて変な笑みを浮かべてしまう。 「あ…あのあのでも…い、イオン殿のおかげで…少し金銭的余裕が生まれましたので な、なんと街に数億年ぶりに自分の買い物に行きました…! で、新しい靴を買いました…これまた4年ぶりくらいの新調と相成りまして……」 ヴェネッタが早口に喋ると、4年も同じ靴かぁ…、とイヴィトが苦笑している。 今までは自分の服だの日用品など買っている余裕が無かったので、石鹸ひとつにとっても魔法を駆使してどうにかDIYしたり無理やり修理して過ごしていたのだ。 そのおかげで手先だけは無駄に器用になってしまったが。 「本当にイオン殿には足を向けて眠れません…」 それは本当にその通りで、高い学費も犯罪レベルの借金も彼のおかげでほとんど0になってしまったのだから。 「ヴェネッタさんのお道具のおかげですよ? イオンさんのご両親も絶賛してました、無限ペンに住所の判…作業がとても捗る!って…」 「え、あ…そんなそんな…イオン殿のアイディーアですよ…」 急に推しに褒められ始めてヴェネッタはどんな顔をしていいかわからず、挙動不審になってしまう。 「今開発中のもすごいんやでー。出来たら驚くこと間違いなしや! ね?ヴェネッタ先輩?」 「そ、そそ…そうですね…!現在誠意作成中でございます…!」 「ふふ。楽しみにしていますね」 なんだか知らない間に応援する立場から応援される立場になっているような気がしてならないが、自分が頑張るほど会社とイオンを通してレンシアにも還元されるのかもと思うと 無駄にやる気が湧いて来てしまうヴェネッタだった。

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