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普通の悩み事 7

「お疲れぇ…」 噂のイオンが少し疲れた様子でやって来て、テーブルの上に食事の乗ったトレーを置くとレンシアの横に腰を下ろした。 「お疲れ様です、イオンさん」 「うわびっくりした…可愛いっ…」 イオンは何故か隣を見て驚いている。 「なんかどんどん酷くなっとるなぁ…」 「いや分かりますぞ自分は…」 くたびれた様子のイオンの膝の上に早速ドラゴンが乗って口を開け始める。 「理事長と話してたの?」 「んー。ちょっと会社のことでね… そろそろ外部に事務所でも借りないとだめかもしれんね…」 イオンはパンをちぎってドラゴンに食べさせてやりながらも、自分の口にも放り込んでいる。 「事務所…ですか?」 「今まで寮の部屋事務所代わりにしてたけどさ…流石に色んな荷物とかが届きまくると学園にも負担かけちゃうというかね… まあこれ以上やると手狭になっちゃうし…レンシアさんにも迷惑かかっちゃうもんな」 「俺は大丈夫ですよ?」 「いやぁ…流石に箱と書類の海の中に寝かせらんないって… ジンシーバも暴れ狂うときあるし…」 どうやら会社が大掛かりになってきた為、その弊害が出ているらしかった。 ドラゴンも一緒に部屋にいるので余計に大変なのだろう。 レンシアの相棒であるドラゴンは、我が物顔でイオンの膝の上を陣取ってテーブルの上に顎を乗せている。 口元にパンの食べかすがついており、頭の小さなツノもぎょろっとした大きな黄色い瞳も可愛いなと思ってしまってつい見つめていると 視線に気付いたのかじっとヴェネッタを見つめ返してくる。 ヴェネッタは自分の頬を指さして、ついてるよー、と教えてあげた。 するとドラゴンは首を傾けながらも長い舌でぺろりと食べかすをとっている。 「…ふふ」 ヴェネッタは疎通の魔法なんて一切使えなかったが、言葉がなくてもコミュニケーションが出来た気がして少し嬉しくなってしまった。

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