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似合わない 2
「あ…あああの、…人は見た目が9割だなんだと言ってジエン殿が手伝ってくれて…」
「あー。ジエン先輩おしゃれさんやもんなぁー」
ルームメイトの所為にしていると、イヴィトはくすくすと笑って顔を近付けてくる。
「すごく似合っとるよ」
そんな風に言われると、ますます固まって動けなくなってしまう。
イヴィトは誰に対してもすぐに素直に褒めるし、爽やかに微笑んでくれるし、距離の詰め方だって自然であっという間に誰とでも仲良くなってしまう。
普段は猫のようにツンツンしているルームメイトだって会って数分後にはもう絆されていたくらいだ。
誰に対してもそう、そんなのは分かっているけど
やっぱり恥ずかしすぎて、フードを被って遮断したかったが、今日は無いことを思い出して絶望するヴェネッタだった。
「よし。じゃあ行こか」
イヴィトはそう言いながらさっさと歩き出してしまうので、ヴェネッタは覚束ない足取りで数歩遅れて彼についていく。
どこに行くのかも分からないけど、今日一日を無事に過ごせるのだろうかと早速心配になってしまう。
イヴィトとどうでも良い話をしながらも駅まで歩いて行って、汽車に乗って街まで出た。
学園の周りは学園以外はほとんど何もないような場所だったが、汽車で少し移動すれば
華やかで賑やかで、歩いている人間は全員めかし込んでいるような雰囲気の場所に行くことが出来る。
ハートン学園の学生も、休みの日はここで買い物をしたり遊んだりする者も多いようだが
ヴェネッタは魔道具の為に必要な材料を揃えに来るか、そのついでにちょっと自分の必要な日用品を買う時くらいしか来たことが無かった。
お金や友達がいない以前に、そもそも何をすれば良いのかもよく分からないし。
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