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似合わない 3
「ヴェネッタ先輩、何か欲しいものとかある?」
「エ?ほ…欲しいものですか……?」
命に関わる事だと分かっていたので、ヴェネッタは欲という欲を削り取って生きていたので
物欲なんていうものは微塵も存在していなかった。
故に急にそんな事を言われても思い付かないし、3日悩んで良いと言われても思い付かないかもしれない。
「なんでもいいで。服とかアクセサリーとか…香水とか?」
イヴィトは言いながらちょっと笑っていて、ヴェネッタは小さくため息を溢した。
「ぜ…全然似合わないって分かって言ってますでしょ…」
「ごめんごめん、似合わんとは思ってへんよ。
まーただ…あんまり興味はなさそうやなーって…」
「興味がないというか…じ、自分には身に余る事ですから…考えたこともないですよ…」
「うーん。まあ、ヴェネッタ先輩は無くても素敵やとは思うで」
年頃の貴族なんて、自分の事を綺麗に着飾ってよい結婚相手を探すみたいなのが普通なのかもしれない。
余暇を魔道具作りやバイトなんかに充てずに、自分の似合う色だの好きな香りだのを発掘するのに時間を費やすのが普通で。
だけどヴェネッタにとっては別世界すぎて、例え余暇があっても自分はそんな事に時間を使おうなどとは到底思えないだろうと感じていた。
「い……いいですって別に…、無理して褒めなくても…」
「無理とちゃうよ!本当に思ってて…」
「じ、自分は褒められないからって腹を立てるような人間では無いですよ!」
「うーん…先輩には本当に全然伝わらんなぁ…」
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