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大切 2

「嬉しい?」 「え……?え?」 「嬉しいか嬉しくないか、どっち?」 「そ、そりゃあ…嬉しいに決まってますが…その…」 「ほんまに?」 じろっと睨まれて、ヴェネッタはこくこくと頷いた。 いつもにこやかなイヴィトが真顔でいるとだいぶ恐ろしく見えてしまう。 「俺は先輩を喜ばせたかっただけやから、嬉しいって思ってくれたんならそれだけでいいんよ」 「…え…っと、でも…それではイヴィト殿になんの得が…?」 「得とかじゃないんやってーもー」 イヴィトはため息を溢しながら、何か考えるように目を細めている。 「じゃあ…ヴェネッタ先輩は…レンシーが喜んでたらよかったって思うやろ?」 「そ、そりゃあ…レンシア様が幸せなら自分も幸せですから!」 「それと一緒や」 「はぇ…?いっしょ…?」 「ヴェネッタ先輩が幸せなら俺も幸せ、そゆこと!」 レンシアと自分は全然違うではないかと思うけど、イヴィトはいつも通りに微笑んでようやくヴェネッタの頬を解放してくれた。 触れられた所がじんじんして熱くて、ちょっと変だった。 「な…なんで……?」 どうしてそんな事を言うのだろう。 自分なんかに。 ヴェネッタは不思議でたまらなくて、良好な視界でイヴィトを見つめてしまっていた。 「なんで、かぁ…うーん…」 イヴィトは困ったように首を傾けて、ヴェネッタの頭を撫でてくれた。 「ヴェネッタ先輩が大切だからとちゃう?」 「たい…せつ………?」 「そ。好きってこと」 彼は平然と言ってのけると、ニコッと微笑んだ。

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