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大切 8
「今更何言ってんだよヴェネッタちゃん
魔法を剥奪されたら死ぬかもしれねんだろ?死にたくねえだろ?な?」
男はヴェネッタの両肩を掴んで顔を近付けてくる。
魔法は感情に紐付いている為、魔法を取り上げられれば心が死んでしまうも同然になってしまう可能性がかなり高い。
そして、心が死ねば人間はまともには生きられなくなるのだ。
「……そう、なったって…仕方がないのかもしれませんな…」
ヴェネッタは泣きながら力無く両手を下ろして諦めたように呟いた。
すると男は激怒したようにヴェネッタの頭を掴んで壁に押し付けてくる。
「ふざけんなよ!お前は一生俺から逃げられねえんだよ!」
「…っ、…」
「そんなに死にたいんなら俺が今すぐ殺してやるよ…!!」
男はヴェネッタの首根を掴んで力を込めてくる。
反射的にその腕を掴み返したが、恐怖で全然が入らなくて。
「やめ…てくださ……っ」
「兄貴、こ…殺すのは流石にまずいですって!」
「そうですよ!魔法使い殺しなんて…」
「うるせえ!」
他の男も止めに入ろうとしているが、頭に血が昇っているのか男はどんどん力を込めてくる。
本当に死ぬんだ。
頭が真っ白になりそうだった。
でもこれで良いのかもしれない。
ヴェネッタは泣きながらも、どこか諦めたような気持ちになってしまって
だんだん身体に力が入らなくなって男の腕を掴んでいた手がだらりと落ちていった。
「…っふざけんな!!!」
もう気絶してしまうという真っ白な世界の中、聞こえてきたのは怒鳴り声だった。
ヴェネッタは頽れていて、咳き込みながら地面を見下ろしていた。
「またお前か…!」
「これ以上先輩に執着すんのやめてや…!?」
「うるせえ!そこを退け!」
言い争っているような声が響いていて、頭がぐらぐらと揺れるようだった。
ヴェネッタは怖々と顔を上げる。
「い……、……」
赤茶色の髪、大きな背中、確認できたのはそれだけで、
次の瞬間ふらっと視界が大きくぶれて、ヴェネッタはそのまま意識を飛ばしてしまった。
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