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傷付けられないで。 3
「……ずっと自分は…産まれてきちゃいけなかったんだと思っていましたから…
だから酷い目に遭うのかなって……
でも“大天使”は…全ての魂が…人間だけじゃなくて…神や天使や…色んな存在に愛されているのだと仰っている…
それが本当だったら、こんな自分でも…もしかすると…天使には、少しくらい愛して貰っているのかなって…
こんな自分でも…誰かの為になる事が出来るのかもって思えたら……」
例え親に望まれていなかったとしても。
ヴェネッタが大天使の教えに陶酔していったのは、大天使はずっと愛を説いていたからだ。
それで作られている世界に自分だって少なからず存在しているのだと、少なからず“居てもいい”と言ってもらえてるみたいで。
だけどこんな風に排除されようとする度に、もしかすると自分が勝手にただ居座っているだけで、本当は居てはいけないのだろうかと疑ってしまうのだ。
「でも…やっぱり…神様は見ているのでしょうな…」
ヴェネッタはつい呟いてしまって、自分の罪深さに溺れそうになってしまっていた。
「本当に…神様がいるんやったら…、
ヴェネッタ先輩がいつもよう頑張ってることを見ててくれているはずや…」
背中にぶつかってくるイヴィトの声はいつもよりも小さくて、ヴェネッタは何も言えずにいた。
「…ヴェネッタ先輩は、頑張り屋さんでいつも
一生懸命で…それなのに、誰の所為にもしない…
心が…、魂が綺麗な人なんやろなって思う…
俺はそんな先輩が…好き…
…っ、そうじゃなくたって…、好きや」
イヴィトの言葉には思わず涙が溢れてきてしまって、ヴェネッタは彼に背を向けたまま眼鏡を押し上げて乱雑に腕で涙を拭った。
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