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傷付けられないで。 4
「…い…イヴィト殿が言っていることはさっぱり分からん…
自分が綺麗だなんて思ったことは一度だってないし…
そもそも…恋愛とか好きとか…じ…自分には無縁だし、そういう対象に自分がなり得るなんて考えた事もない…」
「……」
「…でも、イヴィト殿が…嘘をつくとは思えんのですよ。
だからきっと…“優しさ”を向けようとしてくれてるんだなって思うし…それは、ありがたいことで……嬉しい、ことで…」
イヴィトはいつだって正しくて、みんなに優しくて。
危険だと分かっていても真っ先に助けてくれるような人間で。
レンシアといい、イオンといい、彼といい。
そんな“大天使”みたいな人間が本当に存在している事は、ヴェネッタにとっては嬉しい事なのだ。
もしかするとそれが“普通”という事なのかもしれないけど。
ヴェネッタはようやく振り返って、彼に微笑みを向けた。
「…ありがとう…イヴィト殿
自分なんかにも、優しくしてくれて…
でも…、自分の所為でイヴィト殿が怪我したり…嫌な目に遭わせるわけにはいきませんから…
もっと気を付けておかねばですな」
彼らの“平等”に、まだ自分も含まれているのだと思うと幾分か
まだギリギリ、ちゃんと真っ当に、せめて何かのために出来ることをして生きていかなくてはと思える。
例え自分が本当はいてはダメな場所に居座り続けているだけなのだとしても。
せめて、もう少しだけ。と。
ヴェネッタは泣かないように我慢しながら、ようやく歩き出した。
「さ、さて帰りますかな…!
自分の所為で遅くなってしまって重ね重ね申し訳ないやらなんやらで…!」
辺りはすっかり暗くなっていて、寮の門限に間に合うだろうかと不安になってしまうくらいだった。
イヴィトの横を通り過ぎて、2、3歩歩いた所で彼に腕を掴まれてしまいヴェネッタは振り返った。
「俺は、…優しくなんて…あらへんよ…」
イヴィトは俯いたままぼそぼそと呟いている。
そんな風な彼は珍しくて、何か怒らせてしまったのだろうかと内心焦りながらヴェネッタは彼を見つめた。
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