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バースデーハッピー 1
食堂端のいつもの席は、相変わらずいつもの面々が集まっているようだった。
イオンに、ローラに、そしてイヴィトも。
彼の姿が目に入っただけで、何故か顔が熱くなってヴェネッタはついフードを深く被ってしまった。
「お。きたな」
「ほら、ヴェネッタさん早く早く」
レンシアに背中を押されて、ヴェネッタはテーブルへと歩み寄った。
「せーの」
「ハッピーバースデー!!」
「ひゃ…!?!」
掛け声と共にぱん、といった破裂音が鳴ってヴェネッタはつい身構えてしまった。
だけど目の前をちらちらと紙吹雪のようなものが落下していく。
びっくりして顔を上げると、テーブルの上にはケーキがあった。
「や、やった成功した…!!」
「ひひ。だから言ったろ?酷く単純な構造だ。
まさかこんな愉快なものになるとは思わなかったけどな…」
何故かイオンの手にはヒラヒラのリボンのようなものがあって、彼は感動しているようだった。
「え…?っと……?」
混乱していると、ケーキを差し出されてしまった。
「今日お誕生日なのでしょう?」
「はい、恒例のロウソク吹き消し!」
ケーキの上に刺さったロウソクには火が揺らめいており、促されるままヴェネッタはその火を吹き消した。
するとぱちぱちと拍手をしてもらって、ヴェネッタは恥ずかしくなりながらもフードを両手で押さえて俯いた。
「う……うぁ……あ、ありがとう…ございます…こ、こんな…自分なんかの為に……?」
「なんかは余計やでー」
「そうですよ!お誕生日はしっかりお祝いしなきゃ!」
「レンしぃも似たようなこと言ってたくせに」
本当に、生まれてこの方誕生日なんていう概念は欠落していた。
自分が何歳だったか曖昧になるくらいには。
ヴェネッタは顔も身体もなんだか妙に熱くなってしまいながらも、怖々と顔を上げた。
ケーキは白いクリームのケーキで、チョコレートのプレートが真ん中に乗っていた。
そしてヴェネッタの名前が書かれている。
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