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バースデーハッピー 4
「なになに?似顔絵でももらったん?」
「さ…、さぁ…?なんでしょうこれ…」
イヴィトが近付いてきて覗き込んでくる。
ヴェネッタは紙をひっくり返してみたりしたが、それでもさっぱり分からない。
「知らん。何を書いたか覚えちゃいないし俺が見てもわからんぞ」
「え…もしかしてゴミ渡した?」
「バカ言え。それは“霊視:人生が豊かになるヒントについて”だ。
預言者協会を通したら50万は請求されるぞ」
「ごじゅ……!?!?!?」
「スピやべー…」
「インチキとも一概には言えないところがやなぁ…」
「ちなみに野良の預言師だったらもっと取る」
「ローラは預言者になった方が稼げるのでは…」
「は…こんな疲れること毎日できるか。金だけが全てではないからな」
「言ってることは格好いいんだけどなぁ…」
紙に描かれている奇妙な模様は見覚えがあるような気もしたが、それでも何故ここに書いてあるのかは分からないし
結構雑に殴り書きしてあるので余計意味不明だった。
「えっと…で、でも何か貴重な…大切なことなのかもしれないですよね…
ありがとうございます、ローラ殿
大切に致します…!」
ヴェネッタが微笑むと、いい人…、とイオンが呟き
当の本人は、よきにはからえ、と偉そうに腕と足を組んでいる。
「イヴィトは?」
「んー?俺はもう渡してるもん。ね?」
気が付くとイヴィトがすぐ後ろに立っていて、ヴェネッタはついぽかんと彼を見上げてしまった。
彼に見下ろされている、と気付くと心臓がバクバクと騒ぎ出して固まってしまう。
「何貰ったの?」
「さーなんでしょー」
イヴィトはにやにやと笑いながらヴェネッタの頭を撫で、さてーケーキ切り分けますかー、と言いながらテーブルの向こう側へと行ってしまった。
彼はいつも通りにしていて、昨日の出来事は夢だったのだろうかとすら思えてきてしまう。
好きとか言われたのも、
抱き締められたのも。
キス?されたのも。
何か変な夢でも見て現実と混同してしまったのかと。
だけどいつもよりも良好に見える視界が、果たして本当にそうかな、と語りかけてくるようだった。
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