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バースデーハッピー 6
「…ヴェネッタ先輩はもっと、受け取っていいと…受け取るべきやと思う」
イヴィトがずっと心配そうな顔をしているので、ヴェネッタはまた気を遣わせてしまうかもと慌てて顔を上げた。
「…い…いやぁまぁ学費の心配も…借金もなくなって、ちと呆けてしまっているのかもしれませんな!
今日一日ずーっと頭がぼーっとなって何度頭をぶつけたことか」
「そうなん?…やっぱり昨日の…あいつらのこと…?」
「いやいや!何故かずーっとイヴィト殿のことを思い出して……」
つい勢いで喋ってしまい、俺?と言っているイヴィトを見上げては
ヴェネッタは顔が急激に熱くなり、どうやって呼吸をしていたのか分からなくなってしまう。
「い、いいいいやなんと言いますかな……!?
自分へ、変な夢を見てしまったようで…!?それに取り憑かれておるというか脳がおかしくなったというか!?」
「夢?どんな夢?」
「どっ、ど、どどんなというか…そのあのえっと…」
唇に触れてきた柔らかい感触が思い出されてきてしまい、ヴェネッタは変な汗を全身に感じながら思わず胸を押さえてしまう。
心臓が大暴れしすぎてあり得ないくらい痛くなっていた。
「……そっか。俺のこと考えてくれてたんやな」
イヴィトは少しだけ泣きそうに目を細め、微笑んでいる。
そんな顔をされると余計に胸が痛くなるから、やめて欲しいのに。
「でも頭をぶつけるのはいただけんのぉ」
彼はそう言いながらヴェネッタのおでこ辺りに触れてくる。
その手は、やっぱり、昨日触れてくれた時と同じ温度で。
すごくドキドキするのに、妙に安心出来てしまうような。
「う…ぅう…」
気ぃ付けや、とちょっと注意されてしまったがヴェネッタはまた頭がぼうっとなりながら覚束ない足取りで彼と部屋まで帰るのだった。
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