71 / 138
平等には出来ない人 1
イヴィトは平和主義だったし、両親が言っているように
傷付け合うような事は結局何も生まないのだ、という考え方はこの世の真理だと信じてやまなかった。
だから自分に関わってくれている人間や、目に映る人達はなるべく幸せに平和に暮らしてほしいと思っていたし
その為に自分が出来る事ならなんでもやりたいとも思っていた。
島民全員に対して平等だった父親達のように、全ての人間に対して平等に愛を持って接していようと心がけているつもりだ。
しかしある時から、平等とは?と疑問に感じる瞬間が頻発するようになった。
イオンやレンシアやリウムといった友人達、そこには次期皇帝であるエルメーザもいて
格上貴族である十家であろうと皇帝家であろうと、孤児院出身者であろうと全員平等のつもりだった。
学園にも、在学中は身分差なしというルールもあるくらいだから
家柄や、出身で扱い方や態度を変えなくてもいいと思っていた。
それは性格とか性質とかにおいても言える事で、ちょっと合わないなと思っても適切な距離感を保てば済む話だ。
だけどある時からイヴィトの中で、特別、とも呼べる感情が湧き起こってきてしまって
どうにもそれに自分が翻弄されているらしいぞと気付いてしまったのだ。
彼が誰かに夢中になっていると面白くないような気持ちになったり、自分にだけ許してくれているような行動だと思うと優越感に浸ったり、時々躍起になって彼と誰かの間に入ろうとしてしまったり。
自分はこんなに性格が悪かっただろうかと凹んでしまうくらい、今まで抱いたことのないような感情を抱いてしまっていた。
それが、一つ上の先輩であるヴェネッタに対してだった。
苦労人であるヴェネッタは、理不尽な目に遭っていながら奇跡と呼べるくらいの純朴さを保っていて
愚痴の一つだって聞いたことはない。
それだけで普通に尊敬に値する訳だが、何故自分がそれ以上の感情を抱いているのかはイヴィトにも正直謎だった。
ともだちにシェアしよう!

