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平等には出来ない人 2
ヴェネッタは何故かいつもビクビクしていたり、それなのに喋り出すと止まらなかったり、挙動不審な動きをしていたり。
黙っていると結構綺麗なのに全然見てくれに気を遣っていなくて、伸ばしっぱなしの髪の毛はボサボサだし眼鏡はちょっとズレているし、話しかけるとフードを深く被ってしまうし。
最初は変な人だなぁと思っていた。
だけど、何かを作っている時の真剣な眼差しとか、不安げに輝いている青い瞳とか
なんでもすぐに信じて、この世の事を何も知らなさそうにも思えるのに
時々凄く、高くて遠い所から物事を見ているような。
自分なんかでは絶対に行けないような、そんな場所にいるような。
それなのに、ちょっとした事で怯えて蹲っているから放っておけなかったり
だけど、とんでもない無理難題をどうにか自分だけで解決しようとしているから頼ってくれればいいのにとやきもきしたり。
とにかくヴェネッタという存在が、どうしようもなくイヴィトの心を掻き乱してくるのだ。
それが“好き”というものだと自覚したのは、彼と出会って話し始めてから暫く経ってからの事だった。
一体自分がいつからそうだったのかは曖昧だったが、イオンの会社の作業を2人でやっていたり、
彼の信仰の対象であるレンシアがあらゆる事件に巻き込まれる度に彼は大騒ぎするので
それを慰めてやったりと何かと一緒に居るうちに何故かそうなっていったのだろうとイヴィトは考えていた。
今はもう結構戻れないくらいには自覚していたのだが、過酷な人生を歩んでいたヴェネッタが
ようやく様々な柵から解放され、自由を謳歌し始めようとしている矢先に、と思うと一方的な感情を押し付けるのは良くない気がして
ただただいつもと変わらず見守ろうとしていたのだけれど。
やっぱり、そこら辺も平等性を欠いてしまって
自分でも思ってもいなかった言動を取ってしまった。
これは特別ゆえ、の事なのかそれとも自分の中に潜んでいた何か邪悪な素質の仕業なのかとイヴィトは少々焦ってもいた。
ヴェネッタは、まるで悲壮感などないみたいに振る舞っているけど本当は傷付いているはずで
だからこれ以上彼を追い詰めたり悩ませたりなどしたくないと思っているのに。
ただ、幸せになって欲しいとこんなにも思っているのに。
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