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剥奪 1

自分の作った何かが褒められたり、理不尽に怒鳴られて殴られる事も無ければ、支払いに怯える事もない。 最近は夜更かしも減って、少しずつだけど貯金も出来るようになった。 なんて、麗しき充実した日々。 ヴェネッタは自分の人生にもようやく“普通”と“平穏”が訪れたと安心しきって過ごしていた。 多少の悩み事はあるけれど、そんなのは大した事ではない。 命を脅かすほどではない。 それだけで随分と気が楽なものだ。 だからといって欲張らず、慎ましやかに過ごすのだと少々自分に言い聞かせながらもヴェネッタは学園生活を謳歌しようとしていた。 そんな矢先の事である。 面会人が来ている、と呼び出され、 ヴェネッタが空き部屋という名の面会室に行くとかっちりとスーツを着込んだ男が待っていた。 如何にもお役所の人間と言ったように髪の毛も綺麗に7:3に分けており、眼鏡を持ち上げながら男は真顔で説明をし始める。 「ご学業に励んでいらっしゃる所誠に恐縮ですが…、何分重要なお話がございまして…」 男は持参してきたらしい資料をテーブルの上に山のように積み上げており、その中の一つを手に取って捲りヴェネッタに見せてきた。 「単刀直入にお伝えしますとですね…テガボ家から爵位が剥奪されまして…」 「は、剥奪……?」 「ええ、長期間に渡る職務怠慢…それから招集無視に…、各種支払いの滞納に…不起訴にはなっておりますが2度の暴行未遂での任意同行… などなどによりまして、実は昨年より剥奪となったのです」 男が話す内容の全てが知りもしなかった事で、ヴェネッタは衝撃のあまり言葉を失ってしまう。

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