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剥奪 8
「………ヴェネッタ…先輩…」
泣いているような声で呼ばれながら、頭を撫でるようにされて完全にホールドされてしまう。
心も身体もバラバラになってしまいそうなのに、身体を包んでいる暖かな温度を感じていられるのが不思議だった。
「…そう、よな…ぁ…」
「………離し…て………」
ただただ悲しくて、弱い力で抵抗するけどイヴィトの腕はびくともしない。
自分が言っていることが良くないことで、理不尽なことだとは分かっているけどそれでももうヴェネッタはどうしたら良いか分からなくなって泣いている事しか出来なかった。
「……でも俺は…先輩のこと大事に思っとるよ…」
意味不明な事を言われながら、身体をひっくり返されて、唇を塞がれた。
「…っ……ん…」
身体から力が抜けそうになっていたが、イヴィトの腕に支えられながら深く口付けられる。
さっき吐いたし、あんまり良くないんじゃないかと思うのだけど
今まで味わった事のない他人の唇の感触に、ただただ翻弄されていた。
「ん…、っ…ん…」
どうやって息を吸えばいいか分からない。そうじゃなくても苦しかったのに。
でもこのまま息が出来なくなって、死んでしまったら嬉しいかもしれない。
そんなふざけた考えが過って、ヴェネッタはそわそわと彼の胸に手を触れた。
心臓が、鼓動してる。
そんな事を感じてしまう。
「ぁ…、っ、ん…、っ」
なんだか身体がざわざわして、頭がぼうっとなっていく。
唇を軽く吸われたり喰まれたり、ちょっと甘噛みされると余計に。
眼鏡がカチカチとイヴィトにぶつかっている。
だけど彼は構うことなく貪り続けて、やがて唇を舐められてしまう。
そして唇の隙間から舌が侵入してきて、ヴェネッタは思わず彼の胸を押して口を離した。
「……は、ぁ……っ、だ…だめ……さっき吐いたから……」
さすがにそれは良くないと申告してしまうと、イヴィトはため息を溢しながらヴェネッタの頭を撫でるように抱き寄せてくる。
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