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出来ること 3
ジエンは拾い上げた紙を読みながら鼻で笑い、それを投げた。
すると紙は鳥のようにすーっと飛んで、イヴィトの元へとやって来る。
思わずそれをキャッチして見てみると、そこには物々しい文章が並んでいた。
「そいつの家は家庭崩壊しているようだったからな。
大方父親が死んだか行方知れずでお鉢が回って来たんだろ」
ずらりと並んだ法令違反の下には、爵位剥奪及び罰金2000万の措置という文字があった。
「これ…ヴェネッタ先輩に…2000万払えってこと…?」
「は。500年の借金の次は罰金か。
こいつの財運はどうなっているんだろうなぁ」
ジエンは笑いながらもヴェネッタの机に近付いて、山積みになっている紙束のいくつかを持ち上げている。
イヴィトは頬を濡らして眠っているヴェネッタを見下ろした。
今度は家の負債を背負わされたという事なのだろうか。
やっと借金から解放されたはずなのに、またしても?
「に…2000万なんておかしいんじゃ…」
「言ったろ、本来は禁錮80年だ。これは罰金で換算すれば大体7000万相当…
違反をしたのは子爵だった父親だろうからな、ある程度は情状酌量してもらったんだろ。
爵位を持つという事は皇帝から信頼されているという事になる。
家督を継いだ人間だけじゃない。家全体への、だな。
それを無碍にするという事は家の人間全員に責任が伴う」
ジエンの貴族論は最もな事だった。
例えヴェネッタ本人が何もしていなくても、テガボ家として何らかの罰を受けなければならないのだろう。
だけどそれを受けれる人間が今、彼しかいない、という事なのだ。
ヴェネッタはそれを分かって受け入れようとしたのだろう。
平気、だとか言って。
だけどこんなのが、平気なわけがないのだ。
「……先輩…」
イヴィトはまた泣きそうになって奥歯を噛み締めた。
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