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出来ること 4

「なるほど…屋敷の売却か……」 ジエンは何かの紙を眺めながら考えるように呟いている。 そして項垂れていたイヴィトの頭を丸めた紙で叩いてくる。 「そいつを助けてえんなら少しは頭を使いやがれ。 まあ君は頭脳派ではなさそうだがな、彼氏くん」 「…どうすれば…?」 「いいか?国はこいつの実家の屋敷を買い取りその差額分のみを請求すると言っている。 ここには1500万相当と書いてあるが、あいつらは何かと理由をつけて減額してくるはずだ」 「1500万でも足りてないのに…」 「まぁそれは仕方ねえよ。家の古さもあるからな だが減額分を減らしたければ家の修繕や掃除が必要だ。 特に掃除は必須だな。“清掃費”としてかなり引かれるぞ。 中に家具やなんかが残っていれば“撤去費”“処分費”“それに伴う“人件費”だ。俺の見積もりでは800万くらいは引かれるだろうなぁ」 「は…!?引かれすぎやろそんなん…!」 「国営ってのはこんなもんだ。真っ当そうな理由をつけられて搾取されんだよ 情弱な人間はただ言われた通りに払うしかない。そいつみてえにな」 ジエンはそう言いながら紙を渡してくる。 そこにはヴェネッタの実家らしき屋敷の写真や情報が記載してあった。 「査定員は来月来る。それまでに家の見てくれを少しでもよくしておく事だな。 直せるところは直して、明日にでも別の誰かが入居できるような“完璧な空き家”にしておけばあまり文句はつけられねえだろ。 ついでに金になりそうなものがあれば別口で売却した方がいい」 イヴィトは腕を組んでぺらぺらと喋っているジエンを見上げた。 結構丁寧にアドバイスをしてくれているなぁ、と。 もしかすると彼は彼なりにヴェネッタの事を助けようとしてくれているのかもしれない。

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