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出来ること 5
「いいか?こういうのは舐められたら終わりだ。
搾取される人間ってのは、こいつからはいけると思われてるってこった。
奪われたくないんだったら相応の知識で戦う術を身につけろ」
ジエンはイヴィトを睨みながら説教をしているが、イヴィトは彼のいう事は最もだと思った。
イオンもそうやってヴェネッタの500年の借金を帳消ししていたし、自分だって一度そうやって借金取りを追い払った事がある、と。
落ち込んでいる場合じゃない。
物理的に彼が打ちのめされているのであれば物理的に救うしかないのだ。
イヴィトはジエンの片手を両手で取った。
「ジエン先輩…ありがとう…!」
「…!?」
大事な人が悲しんだり苦しんだりしている時、やっぱり自分がしっかりしていなくてはいけないのだ。
今苦しんでいる人に何か考えろとか解決しろと言ったってそれは難しいことだから。
だから横で見ている人間が、そう出来るように動いていくしかない。
イヴィトはそう思い直すのだった。
「先輩色々教えてくれへん?俺バカやからさ…
ヴェネッタ先輩のこと助けたいんや…お願いします…!」
イヴィトはジエンの両手を握り締めたまま彼の目をじっと見つめた。
ジエンは嫌そうに顔を顰めていたが、耳が赤くなっていて
この人は素直ではないだけで案外いい人で押せばいけるらしい、と確信するのだった。
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