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傷付けたって 3
「じ…自分…は、イヴィト殿には…な、なにもしていないはず…で…」
「あははーセンパイ可愛いなぁ。The穢れなき存在って感じで…」
スーは隣に腰を下ろすと、ヴェネッタの顔を覗き込んでくる。
顔が近付くとようやく輪郭がはっきりと見えた。
「あーあこんなに腫れちゃってさ。
可愛いセンパイがしくしく泣いてたら自信無くしちゃうのも分かるなぁー
あのイヴィトくんがバカ凹んでてさーそれはそれで色気があったけどぉ」
スーの手が頬に触れ下瞼辺りに指が這うと、その冷たい指先にヴェネッタは自分の眼が腫れている事を感じてしまった。
確かに昨日は大号泣して、そのまま気絶したようだ。
イヴィトはまたずっと一緒にいてくれたのかもしれない。
「自分…ダメですよね……すぐ混乱して泣いてしまって……イヴィト殿にも酷い事を言ってしまいました…」
「そーなん?」
イヴィトが大切に思ってくれているのは嘘では無いのだろう。
そうやって気に掛けてくれる相手に対して、泣き叫んでしまったなんて。
彼のことを酷く傷付けてしまった、とヴェネッタは凹んでしまうのだった。
「センパイは…イヴィトのこと好きなんでしょ」
「え……」
「好きなんだったら、酷いかどうかよりも
思っている事を言った方がいーよ」
「……思っている…事…?」
「そー。素直なのが結局一番大事なのさ」
スーはそう言いながらヴェネッタの頬を捏ねくり回している。
「じ…自分が何を思っているのか…よく、分からない…」
「んー。じゃあそういう時は何を感じているかを言ったら?
辛いーとかくるしーとかそれいやーとか
別に、ネガティブな感情を伝えたっていいと思うよ?
だってそう感じてるんだったらさ」
「……でも…、傷付けるんじゃ…」
「いーじゃんか傷付けたってー。それが嫌な人は勝手にどっか行くんだから。所詮それまでだったってことじゃん?
それでも大事にしてくれそーな人と付き合った方がよくない?
だって一緒にいる以上さー傷付かないなんて無理だしぃー」
スーはゆるい喋り方の割に何だか確信をついているような事を言っている。
確かに人と一緒にいるのは傷付く事なのかもしれない。
それでも、大事にしてくれる人。
イヴィトは、そんな人、なのかもしれないけど。
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