102 / 138

手放すために 2

「あ…あの本当にいいんですか…?自分何も返せないのに…」 「何を言っているのですか!俺はヴェネッタさんには大恩がありますし、これくらいさせてください そうでなくたって俺に出来る事であればお手伝いする所存です!」 レンシアはそんなことを言いながら何故か胸を張っている。 彼の頭の上には黒いドラゴンが乗っていて、不思議そうに首を傾けて屋敷を見上げている。 命を救ってもらっているのは寧ろヴェネッタの方だったが、レンシアは絶対手伝うといってついてきてくれたのだ。 「オレも別に暇だったからいいよんーお礼は身体で払って貰えば…あだっ」 イヴィトのルームメイトのスーも来てくれたが、彼は早速頭を叩かれている。 ヴェネッタは大変申し訳なく思いつつも、とりあえず家の鍵を開けて中に入った。 家の中はシーンとしていて、人の気配はない。 もしかしたら父親が帰っているかもと思っていたけれど、床に埃が溜まっているしどうやらかなりの長期間誰も足を踏み入れていないようだ。 「い…一応2階に4部屋と…1階は大広間と…キッチンと…」 「はー。本当になかなか立派なんやな」 「…お…お屋敷は祖父が建てたそうです…その頃は使用人さんもいっぱいいたみたいですけど…」

ともだちにシェアしよう!