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心に置くもの 9
「当たり前や……っ、俺が先輩のこと傷付けるなんて……」
イヴィトの声がすぐ耳元でしていたが、彼はなぜかハッとしたように見下ろすとヴェネッタの両頬を包んでくる。
「……もしも傷付けたらぶん殴って貰うようイオンに言っとくな?」
「…えぇ……?」
「ごめん先輩…怒鳴ってしもうて…」
イヴィトは心底申し訳なさそうな顔になって謝ってくる。
ヴェネッタはふるふると首を横に振った。
「なんか俺…あかんな、先輩のこととなるとすぐ頭に血が昇って……
ってうわ…!てか俺、部屋の中めちゃくちゃにしてしもうた……!スー達怪我してへんやろか!?」
彼は焦ったように立ち上がると窓から身を乗り出し始める。
「すまんかった……大丈夫やったか…?」
「ええ、お2人の魔法のおかげで大丈夫ですよ?
家具もそんなに壊れてませんし…」
「どんなプレイしてんだよーイヴィト!激しすぎるにも程があるぞ」
「…あんまアブノーマルなのは良くないと思うわアタシ…」
「そんなんしてへん!」
「俺は別にいいですよ?少しくらいなら…」
「な…なな何言ってんすか…レンシアさん…」
「ははっシアっちの肝の座り方好きー受けにしとくの勿体無いと思うんだよなぁー」
「えええ!?!そういうのも…あ、アリか…!?」
「ご近所迷惑にも程がある内容喋るのやめい」
外から聞こえてくる3人の声は、相変わらず能天気そうだったが
ヴェネッタは壁に凭れながら、空っぽの部屋へと目を向ける。
窓から入って来た風で、なんだか部屋の空気が変わっていっているみたいだった。
不思議と清々しいようなそんな風にも見える。
本当はもうとっくの昔に持ち主を無くしていた部屋だったのに。
縛っていたのは誰だったのだろう。
終わらない借金だってこちらを見てくれない親にだって。
本当は、必死でしがみついていたのは自分で。
もっと、見るべきものは他にあったのかもしれない。
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