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心に置くもの 10
「はー…最近なんか自分で自分の行動が信じられへんのよなぁ…」
イヴィトは何か愚痴っているようだったが、ヴェネッタは彼の服の裾を掴んで引っ張った。
イヴィトは、ん?と視線を向けてくれて、その優しい眼差しに晒されながらヴェネッタはようやく立ち上がった。
「…好き…」
自分が今、どう思っているか。
そんな事を吐露しながら、ヴェネッタがちょっと恥ずかしくなっていると
驚いたように目を開いていたイヴィトは眉根を寄せながら背中に腕を回してくる。
「俺も、好き。ヴェネッタ先輩」
同じように返してもらって、2人は口付けあった。
どうしてこんなに簡単な事が今までできなかったのだろう。
同じように返してくれる、そんなものを選べばよかったはずなのに。
「おーいー!チューしてんじゃねーぞぉぉ!羨ましい事この上なーい!!」
スーの悲痛な叫び声が聞こえて来て、ヴェネッタは慌てて身体を離した。
「うわ、うわ…スー殿に怒られてる…どど、どうしよ…」
「あはは、そろそろ真面目に掃除せんとな」
とても辛くて、沢山泣いていたはずなのに、今は妙に気分が晴れ渡っていた。
1人だったらきっと、こんなに上手くはいっていないだろう。
誰かが一緒に居てくれるって、すごく良いものだなと思える。
自分といてくれる誰かがいるなんて、この家にいた頃は想像が出来なかった。
でも今は、1人じゃないみたい。
「行こ、ヴェネッタ先輩」
「…うん」
それは、とても、幸せなことだ。
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