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贅沢な選択 6

「ごめんな…なんか、先輩を前にするとどうにも自分がおかしくなってまう…」 イヴィトは彼の顎に触れて唇をそっと撫でた。 柔くてちょっとぷっくりとした唇は何も塗っていないのにピンク色に色付いている。 だけど、今まで彼の気持ちを無視して勝手に抱き締めたりキスをしてしまっていたな、という後悔もあってそれ以上は踏み込めなくなっていた。 今日だってあんな乱暴な真似をする気はなかったのに。 「う…うう……じ、自分もですよ……っ…」 「そーなん…?」 「さ…触られていると…ん…、っ…なんだか……す…すごくドキドキして…」 気付くとヴェネッタの唇を捏ねくり回していて、はぁ、と甘い吐息が漏れ出ているその唇に釘付けになってしまっていた。 イヴィトはまた勝手に自分が動いていた事に少々の恐ろしさを覚え、そっと彼の唇から手を離した。 「で、でも…きっとイヴィト殿にだけですぞ……? 前に…その、別の人に触られた時は…凄く嫌すぎた覚えが……」 借金取りやらスーやらに彼が触られていたことを思い出すと、イヴィトはあり得ないくらいイライラしてしまう。 借金取りの男なんて彼の首を舐めていたし。 あの時はヴェネッタと出会ったばかりだったからまだ冷静さを保っていたけど、今だったらもしかすると吹っ飛ばして粉々にしてしまうかもしれない。 「だ…だからその……、じ…自分は……イヴィト殿だけに触られていたいなというか……?」 急に大変なことを言っているヴェネッタに、相変わらずなんて残酷な人なんだろうと思いながら イヴィトは深いため息を溢し、彼をベッドに押し倒した。

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