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手紙 2

“我が子孫へ これを読んでいるということは、君はテガボの家督を継ぎ 受け継がれた『私の指輪』の謎を解いたということだ。 優秀な子孫が家を引き継いでくれたことを誇りに思う“ 「指輪……?謎……?」 書き出しから早速意味不明でヴェネッタは眉根を寄せた。 “私は職務を全うし、成果を上げ、資産もそれなりに築き、世間的には優秀な子爵として名を馳せていた。 だがその分いくつかの犠牲を産んでしまった。 家族をあまり顧みることができず、伴侶の死に際にさえ立ち会えず 息子はもしかすると薄情な父を恨んでいるかもしれない。“ “これを書いている今、私は不治の病に侵されている。 持ってあと数日といったところだ。 君の生きる世界がどのようなものなのか、私には知る由もないことで 未来を生きる君たちに何も言うことはない。 私は貴族として、テガボ家の長として精一杯やったつもりだ。 同じ家にいても顔を見にも来ない息子にも 誰にも看取られる事もなく1人で死に行く結果だったとしても、私は後悔はない。 後悔をする、資格もないと思っている。” 「……お祖父様……」 病床で書いたのか文字はやや歪んでいる。 息子、というのはヴェネッタの父親の事だろう。 どこか嘘の混じっているようなその手紙には少し悲しくなって、ヴェネッタは唇を噛んだ。

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