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見つかりだした! 9

イオンの会社はどんどん急成長をしているらしく、最近近くにオフィスを借りたらしい。 「ヴェネッタ先輩もそこで作業してもいいからね。 ちゃんと先輩の為に作業机用意しといたから」 「え…!」 「なんか他に必要なのあったら経費で落とすから領収書持ってきて貰えれば」 先程アホ面を晒していた人とは思えないほど淡々と業務連絡をしてくるイオンを、ヴェネッタは鍵を握り締めながら見つめてしまう。 自分の為の作業机、なんてそんなもの貰ってもいいのだろうか。 確かに寮の机では結構手狭にはなっていたし、道具やら素材も増えすぎてルームメイトのジエンにも毎日のように怒られていたのだ。 「事務所も出来たことだしそろそろ外部に人も雇いたいんだけどさ…後で相談聞いてもらっていい?」 「うん。ええよー」 イオンとイヴィトはいつものように短く打ち合わせしている。 「すっかり立派なシャチョサンじゃないか」 「いやーなんか最近また調子良いみたいでさぁ… もうここまで来たら行く所まで行くしかないかなって…」 イオンはそう言いながらも膝の上で口を開けて待っているドラゴンにスプーンで食事を運んでやっている。 「だからマジで2人が必要なのよ…お願いね?本当にお願いね?」 やたらとキラキラした瞳で見つめられてしまい、自分なんかで良いのだろうかと思いながらもヴェネッタは頷いた。 「じ…自分に出来ることがあれば…なんなりと…!」 「絶対うちに就職してね??」 イオンは笑顔で圧をかけてきているが、それはヴェネッタにとっては割とありがたい事でもあった。 イオンの会社を手伝っているのは学費の件などもあって恩返しのつもりだったけど、単純に必要とされている事は嬉しくて。 何かを作るのだって今までは少しでもお金になればと必死にやっていたけど、最近では楽しいと思えていたから。 こんな自分でも誰かの役に立っているのだろうかと思うと、それは幸せ、と呼べるような気がするのだ。 ふ、と視線を感じてそちらに目を向けるとイヴィトがじっと見ていてくれて ヴェネッタは不思議に思いながらも彼に微笑み返した。 そうやっていつも、見守ってくれている。 そんな彼にまた頭が謎にぽわっとなってしまうのだった。

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