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見えていなかっただけ 2

「……ありがとうございます…ジエン殿… なんだかずっと…助けてもらっているような…」 キツい口調の割になんだかんだ面倒見のいいジエンに、結局この3年間ずっと世話になっている気がしているヴェネッタだった。 彼は腕を組んだまま自分のベッドに腰掛けていて、ふん、とそっぽを向いてしまった。 「別に。助けている覚えはねえよ お前があまりにも見苦し過ぎて見ていられないからな」 「そう…ですよねぇ…」 最初の頃はいかにも貴族といったような彼と同じ部屋なんてやっていけるだろうかと不安でしかなかったが、 なんやかんやでこの学園で一番付き合いが長い人間ということになるのかもしれない。 それももう後半年、と思うとなんだか感慨深い気もした。 「……でも…、同じ部屋なのがジエン殿でよかったと思います… たくさん迷惑をかけてしまいましたが…色々、教えてくださって…」 世間のことなど何も知らなかったヴェネッタに、怒りながらも色々教えてくれたのはジエンだった。 数ヶ月は怖い人だと怯えていたけれど、彼は誰に対してもそうなのだと思うとただ不器用な人なのかもしれないと思えて。 「全くだ…お前にはずっとイライラさせられている。現在進行形でな!」 「ヒィ…!?…す…すみません……」 ジエンは機嫌が悪そうに舌打ちをしていて、黙った方が良さそうだとヴェネッタは口を閉じた。 「…お前みたいな間抜けに付き合えるのは俺くらいだと思ったんだがな…」 ぼそりと彼は何か呟いていたが、聞き返すと怒られそうだったのでヴェネッタは俯いていた。 だけど彼の魔法はヴェネッタの髪を結ってくれている。

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