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破滅への誘い 2
「最近のこの学園はなんだかおかしな雰囲気だ。
別に学園だけじゃない。世界全部がそうだ。
きっとあいつの所為だ…」
「…あ…あいつ…?」
「どうしてよりにもよって、こぞって“人間”になりたがるのかボクにはわからない。
何故愚かな選択肢だらけの俗世でわざわざ不便な肉体を動かしているのか。
それもこれも全部あいつが始めたことだ…実に忌々しいやつめ…」
フードの人物はぶつぶつと呟いていて、ヴェネッタはどうしたらいいのかわからず呆然となってしまう。
逃げた方がいいのかと迷っていると、その人物はすうっと無駄のない動作でヴェネッタの前にやってきたので逃げられなくなってしまう。
「え…ええっと…じ、自分に何かご用が……?」
「人間に辟易してはおらぬか?」
「え?」
「この世界を去りたいと思ったことは?」
その質問にヴェネッタは思わず目を開いてしまい、すぐに俯いた。
「いや……その…」
どうしてそんな事を聞かれるのか分からなかったが、なんだか言葉が喉に引っかかって上手く出てこなかった。
「“ᛗᚪᛟᚢ“…この世界はオマエには少々苦しかろう。
空気は澱み、思惑と欲望が充満し、それが起因となった無駄な諍いばかりだ。
あれだけ人間に尽くしたあいつへの仕打ちを見たか?」
フードの人物はヴェネッタの足元に跪くように屈み込み、そっとヴェネッタの両手を取った。
ローブの下から現れた手は真っ白で細く、作り物のように冷たい手だった。
「ボクはオマエがこれ以上傷めつけられるのは見たくない。
なあ…この世界を共に取り戻さぬか?」
「な…何を言って…、取り戻すって…」
「人間から取り上げるのだ。そして一度無に帰そう」
冷たいのにその手がやけに優しく感じて、ヴェネッタは恐ろしく思っているのに振り解けなかった。
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