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破滅への誘い 3

その人物はそっと顔を上げて、フードの下から美しく整った顔立ちの青年が現れた。 金色の髪に紫色の瞳の、美しい青年が。 だけどヴェネッタには、その瞳がいつもよりも暗く沈んでいるように見えてしまった。 「レンシア…様……?」 形のいい唇も、きらきらと輝く瞳も、レンシアそのものなのに ヴェネッタは何故か、恐ろしい、と感じてしまっていた。 「人間はオマエを愛してくれたか? オマエが愛しただけ返してくれたか?」 「……す…すきと、言ってくれる人は…います… 助けてくれる人も…守ってくれる人だって……」 「それは真実か? オマエを救うフリをして、その先にある利益を求めているだけに過ぎないのではないか? オマエから何かを搾取するために…善人のような顔をして近付き…」 レンシアの顔をした“誰か”は、ヴェネッタの両手を握り締めたまま顔を近付けてくる。 甘く、妖しい、頭をクラクラさせる魅惑的な香りをさせながら。 それはいつものレンシアが纏うものではなかったけど。 「また、オマエは裏切られるのではないか?」 耳元で、美しい声が響いていた。 ヴェネッタはわけもわからず震えながら、首を横に振った。 「イヴィト殿たちは……そんな、人じゃない…」 震える声で吐き出しながらも、頭の中に今まで関わってきた大人達の記憶が次々に流れ込んでいた。 罵声を浴びせられ、殴られ、差し出したはずの“優しさ”が全てひっくり返されて、ずたずたに切り裂かれた記憶が。 「オマエの恋人も友達も、所詮は偽善者だ 人間は結局自分の事しか考えぬ。 オマエが“便利”でなくなればあっさりと捨てられるであろう」 「そんなこと、…っ、…」 冷たい手がそっとヴェネッタの服の上を這って、胸辺りを撫でられる。 肉体とは思えないような、硬く冷え切った掌だった。 「オマエが呼べばきっとボクはこの世界と繋がれる… ボクが世界と繋がったら、オマエを助け出せるぞ?」 ヴェネッタはガタガタと震えながら、細く息を吐き出していた。

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