164 / 165

破滅への誘い 5

リウムの言う“先輩”はレンシアのことだが、レンシアの偽物はリウムなのではと思ってしまうB.E.R会員ヴェネッタだった。 しかし、確かに先程の人物はレンシアの顔をしていたが レンシアが絶対言わなさそうな事を言っていた気がして。 「何を言われたの?」 金色に輝く瞳は妙に必死な眼差しでヴェネッタを見つめている。 何を言われたのか、ついさっきの出来事なのになんだか夢のようにぼやけていて だけどとても心が重くキリキリと冷たい痛みを伴うような感じがした。 ヴェネッタは自分の胸を押さえながら、息苦しさに喘ぐように呼吸をしながら目を細める。 「魔道具屋さん…?」 「……信じることが……そんなに、だめなのでしょうか……」 「え…?」 さっき触られた場所が酷く冷たくなって、そこから身体全部に伝染していっているみたいだった。 ヴェネッタは胸を押さえながら遂に前のめりになってしまい、リウムは慌てた様子で背中を撫でてくれる。 「…い……いたい……」 「魔道具屋さん…!」 凍える程寒いはずなのに、嫌な汗が全身を包んでいた。 ヴェネッタは上手く呼吸ができない感覚に溺れながら、 そのままぷっつりと意識を手放してしまった。

ともだちにシェアしよう!