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破滅への誘い 6
窓から投げ出された子ども用のベッドや肖像画が、逆再生で部屋の中へと戻っていく。
暖かくて優しくて、愛を詰め込んだみたいな部屋だった。
だけどきっちりと仕舞われた真新しい衣服も、遊ばれることをいまかいまかと待っていたぬいぐるみ達も
一度も誰の手にも触れられることなく、埃被って佇んでいる。
その壁一枚向こうで、何も持たない醜い存在は苦しんでいた。
殴り付けられて凹んだ空っぽのクローゼットの中で、
隙間から薄く漂ってくるアルコールの匂いと罵声に怯えながら
まるで全てが無意味で虚無で、救いのないような世界だと思えて仕方がなくて。
せめて誰か、愛をもらってはいないのでしょうか?
幸福も愛情も、沢山詰められていたはずのその部屋は
閉じられたままで一度も開け放たれない。
ドアの隙間から覗いたあの人は、いつも泣きながら声にならない叫び声をあげている。
せめて誰か。
幸せとはなんなのか見せてほしい。
愛とは何か、まだこの世界に本当はいくらでもあると
教えてもらうことはできないのでしょうか。
騙されていたとしても、手に入らないとしても
ただそれを、信じさせてはくれないでしょうか。
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