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強くて、弱くて 1
「はぁ……」
油断をすると、自分でも驚くほど情けないため息が溢れてしまう。
イヴィトは、医務室のベッドの上に人形のように横たわっているヴェネッタを見下ろしながら無駄に凹んでしまっていた。
少し目を離した隙に謎の不審者に襲われたらしいヴェネッタは気を失ってしまったようだった。
外傷もないし、何かの魔法にかけられた様子もなく命に別状は無さそうだったが
危険な目に遭ったことには間違いがないのである。
どうして彼ばかりこんな目に遭うのかは分からないが、そうならないように今日一日目を光らせていたはずが
結局こんな事になってしまい、イヴィトは己の無力さを痛感してしまうのだった。
「ごめんな…先輩……」
ヴェネッタの頬に触れながら、イヴィトは弱々しい声で謝った。
彼の寝顔を見ていると、何故だかどうしようもない虚しさや焦りのようなものに襲われてしまうのだ。
彼の為に何かしたくてたまらないのに、自分は何もできない。
それが酷く歯痒くて仕方がない。
医務室のドアが静かに開いて、ランプを持った生徒が入ってきた。
綺麗な金色の髪を結い上げた生徒は、
死にそうな顔をしているイヴィトを見つけると紫色の瞳を細めて困ったように微笑んだ。
「…結局よく分かりませんでした…、
ジョルシヒンさんは何か知って居そうでしたが…教えてくれなくって」
「そっか…、ありがとうな、レンシー…」
「いえ…」
レンシアはベッドに近付いてくると、眠っているヴェネッタを見下ろしては眉根を寄せた。
そして彼の額辺りに片手を翳している。
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