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可愛い子と恐い人シリーズ
*第3者から見た美月 と麗彪 *
【コンビニ店長side】
・・・来た。
私が店長を務 めるコンビニに、たまにやって来る2人。
手を繋ぎ、とんでもなく仲睦まじい様子でやって来る・・・んだけど。
「アイスどれにしよおかなー」
「美月、手ぇ放すなって」
「あっ、ごめんなさいっ」
長身の男性が、中学生・・・いや、下手 したら小学生かもしれない女児の手をがっちり掴む。
私は今日も、通報すべきかすまいか悩みながら、見守る事しかできない。
男性はどう見ても普通の人ではない・・・恐らくその筋の人ではないかと思っている。
しかし、女児には彼を拒絶したり、恐がったりする様子がなく、いつも嬉しそうに商品を選んでいた。
邪魔してはいけない、という考えが強くなり、未だ通報は見送っている状況。
「これ。麗彪さんは?これ?」
「なんで俺が食べたいのわかった?」
女児がアイスを2つ選び、それを男性が受け取ってレジへと歩いて来る。
その2つ、女児がどちらにしようかと悩んでいた2つだ。
プレミアム生チョコソフトクリームと、今期限定スペシャルあまおうミルクアイス。
どちらも男性の趣味とは思えず、単に女児が両方食べたかっただけの様に思えるが、素直に自分が食べたいアイスだと認める男性に、もしかしたら悪い人ではないのかも知れない、と感じられ・・・。
「美月、奢って?」
「ふふっ、いいよお!」
斜め掛けした可愛らしいウサギのポーチから財布を出し、現金で支払ってくれる女児。
・・・こんな幼気 な子にたかるのか?
今日こそ通報してしまおうか・・・。
「422円のお返しです」
お釣りを女児へ渡そうとすると、なぜか男性が受け取ってしまった。
え、奢らせた上に釣銭まで奪うのか!?
「はい、お釣り」
「ふふ、ありがと」
男性は受け取った釣銭をそのまま女児へ渡した。
なんで?
受け取る女児の可愛らしい笑顔に頬が緩んだ私だったが・・・。
「・・・っ!?・・・ぁ、りがとう、ございました・・・」
男性からの威殺す様な視線で、わかった。
この男、私から女児へ釣銭を手渡しされるのが嫌だったんだ。
ヤバい男 だ・・・。
今度こそ通報しよう、と決意しかけたが、女児に視線を戻した彼の顔を見てまた思い止 まる。
「あんな顔も出来るんだなぁ・・・」
慈愛に満ちた、本当に愛しい者に向ける微笑みだったから。
またのご来店、お待ちしております。
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