12 / 12
可愛い子と恐い人シリーズ
*第3者から見た美月 と時任 *
【喫茶店のマスターside】
「ロイヤルミルクティ2つ。あとフォンダンショコラと・・・」
「シフォンケーキ!」
長年喫茶店 で色々な客を見てきたが、こんなに心配でたまらない組み合わせはないだろう。
明らかにカタギではないであろう男性と、可愛らしい女の子。
・・・誘拐?
「麗彪 さん、まだお仕事終わらないの?」
「ああ。きっちり片付けるまでは、帰れねえぞ」
「そっかぁ」
きっちり片付ける仕事、とは?
まともな仕事だろうか・・・。
まさか、犯罪?
え、これ、通報した方が・・・。
「麗彪さん、ちゃんとできるかなぁ」
「駿河 がぴったり付いてるからな。逃げらんねぇよ」
「そっかぁ」
逃げられない?
監禁して危険な仕事を強要しているのか?
しかも、女の子もそっち側?
私は・・・どうすれば・・・。
「お待たせいたしました、ロイヤルミルクティと、フォンダンショコラ、シフォンケーキです」
彼らの座るテーブルへサーブして、カウンターに戻り、引き続き様子を伺った。
男性は女の子のカップにミルクティを注 ぎ、女の子はシフォンケーキを頬張る。
「んーっ、ふわふわぁ」
「こっちも食うか?」
「うん、ひとくちくださいっ」
フォークでひと口大に切ったフォンダンショコラに、添えてあるアイスも乗せて、女の子に食べさせるカタギではないであろう男性。
笑顔はないが、そっと食べさせる手付きが優しい様に見える。
・・・やはり誘拐犯ではないのか?
「んーっ、こっちもおいしいっ。はい、時任さんも、あーんっ」
今度は女の子が、自分のシフォンケーキを男性へ食べさせる。
少し大きめのひと口大、生クリームもたっぷり付けて。
「・・・美味 いな」
「お家 でも、こんなふわふわに作れるかなぁ?」
「まあ・・・出来ない事はねぇな」
出来るんだ?
貴方 、シフォンケーキ作れるんだ?
顔にも雰囲気にも、まったく似合わないが・・・。
「ぼくもお手伝いするね」
「オーブンには近付くな」
「えぇ、いつになったらオーブンからケーキ出すの、やらせてくれるのぉ?」
「来世」
来世って・・・もう少し大きくなったらとか、もっと他に言い方があるだろうに。
いや、大きくなってもやらせる気がないのか?
それとも・・・やっぱり誘拐犯で、あの女の子を・・・。
「本当は包丁持たせんのもやめさせたいんだぞ」
「時任さんからのプレゼントなのに?ぼく、ちゃんと出来るよ?だからニンジンも切って・・・」
「かたい野菜は危ないからだめだって言ったろ」
「んもぉ」
・・・どうやら、女の子の身を案じての事の様だ。
過保護すぎるとは思うが、気持ちはわかる。
やっぱり誘拐犯ではないのか。
女の子も懐いている様だし、保護者・・・なんだろうか・・・。
「美味しかったぁ」
「良かったな。・・・あ、仕事終わったみたいだぞ」
「帰る?」
「ああ」
スマホを確認した保護者(仮)が立ち上がり、女の子の手を引いてレジへ来た。
「ぼくが払うぅ」
「はいはい」
ポーチから可愛らしい財布を出し、女の子がお支払い。
何でもやりたい盛りなんだろう。
「ごちそーさん」
「えへ、どおいたしましてっ」
手を繋ぎ退店する2人を見送りながら、私はひとまず、監禁されて仕事を強要されていたらしい人物の事は考えない事にした。
ともだちにシェアしよう!

