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Letter from the Minute Hand
あぁ……どれくらい寝てたかな。今は何時なんだろう。ふふ、それにしても、あったかい。
短針……あなたに抱かれていると、体の奥からじんわりして、すぐ眠くなっちゃう。
止まった時間を、こんなふうに過ごせるなんて思ってなかったよ。
前みたいに声が届かない40分を数えて過ごしていた日々が、もうずっと昔のように思える。
今は、抱き合って眠って、起きたら話の続きをして、キスをして……気づけばまたうとうとして。
そんな毎日が静かに続いてる。
ほんの数秒しか重なれなかった頃も好きだったけど、今は比べものにならないな。
ねぇ、短針。あなたの癖……ふふ、知ってるんだよ?
重なる直前、そっと息を吸う癖。
あの頃からずっと、あなたのリズムは全部覚えてる。
今は、寝てるときに突然きゅっと抱きしめてくるところも、あなたらしいって知ったんだ。
強いのに優しい。大切にされてるって、こんなことなのかな。触れるだけでわかる。
……短針の癖、全部好きだよ。
前は言えなかったけど、声が届かなくなった瞬間に心の中でこっそり呟いていた。
短針の声も、抱き方も、キスも、触れ方も、どこもどれも大好きだって。
今はこうして触れていられるから、言葉でちゃんと伝えられる。それが嬉しい。
……え? 聞くのは恥ずかしい? あはは、そうなの?
短針。止まった時間の中でも、僕はあなたに恋してる。
この静かな日々があまりにも温かくて、ずっと続けばいいって思っていた。
でも、もうすぐ工事が終わって、また時間が動き出すんだってこと知ってる。寂しくなるかな…いや、意外と、それも悪くないなって最近は思えるんだ。
また声が届かない時間があって、時間が重なるたびに胸が熱くなる生活に戻るんだろうな。
でもね、そのときはきっと___
今よりずっとあなたのことを考えてる自分がいる。だから、ちょっと楽しみなんだ。
そしてまたいつか工事が来て時計が止まったら、また、こうして隣で寄り添える。
動いても、止まっても。どんな時間でも、あなたとなら恋し続けられる。
それだけで、僕は十分すぎるくらい幸せだよ。
……え? また照れてるの?
うふふ、そんなところも大好きだってば。
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