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第3話

 ふっ、んっ……はっ、んんっ」  一磨が予約した都内のホテルに喫茶店から直行すると、一磨は部屋に入るなり、いきなり僕を背後から強く抱きしめた。そして、僕の顎を掴み持ち上げると、がっつくように激しいキスを落とす。 「か、一磨っ、ふっ、んんっ、ちょ、まっ」  一磨は僕の言葉など聞かず、荒い息を吐きながら僕に濃厚なキスを与え続ける。 「待てない……はあ、俺が、どれだけこれを待ち望んできたか、はあ、湊は分かるか?」  一磨は必死に自分の欲望を抑えるように、深い呼吸をしながらそう言った。既に一磨の瞳は、僕が何を言っても無駄だと思わせるくらいの興奮状態で、少し恐怖すら感じる。でも、それだけ一磨が僕を強く求めてくれているのだと思うと、僕の全身は喜びで震えてしまう。 「はあ、んんっ、一磨……好きだよ、大好きだよ」  僕は一磨から唇を離すと、一磨の頬を両手で挟みながら、真剣に瞳を見つめてそう言った。 「……っ、お、俺もだよ……ああ! どうしよう、俺、俺……死ぬかもしれない!」  一磨はそう言って自分も僕の頬を両手で挟むと、強く持ち上げ、脳髄がトロトロに蕩けてしまうようないやらしいキスを僕に与える。その舌の動きは反則だ。僕の理性をぐにゃぐにゃにして使い物にならなくさせる。 「好きだ、好きだ、湊……」  一磨はまるで譫言のように何度もそう言った。僕の耳に一磨の少し掠れたセクシーボイスが官能的に纏わりつく。 「ねえ、一磨……今日ってその……最後まで、するの?」  僕は朝からずっと気になっていたことを聞いた。もしものことを考えて準備は整えてきたが、僕たちにとっては初めて行為だし、上手くいくかも分からない。そんな不安をきっとお互いに持ち合わせていると僕は思っているのだが、どうやら、一磨はもう既にそんなことを考えられる状態にないようにも見える。 「え? え? ち、違うの? お、俺は、めちゃくちゃそのつもりでいるけど……」  そう言いながら、一磨は急に僕を抱きかかえると、ベッドに向かい歩き出し、僕をそこにやや乱暴に座らせた。そして、床に片膝を付いてしゃがみ込むと、僕を伺うよう見上げる。その上目遣いの瞳は、熱く潤おいながら揺れていて、少し動揺しているように見える。 「確認しただけだよ……だって、初めてだから……少し怖くて……」  僕は正直に自分の気持ちを伝えると、一磨の手を掴み、その手を自分の頬にそっと押し当てながら、一磨の掌に舌を少しだけ出してキスをする。どうやら僕もかなりエロティックなムーブが湧き上がってしまっている。  一磨は僅かに、僕に握られている手を硬直させると、喉仏がゆっくりと動くのが分かった。 「湊に煽られるなんて……夢みたいだ」  一磨はくぐもった声でそう言うと、僕の肩をぐいっと押して、僕をベッドに横たわらせる。 「優しくして……」  僕は一磨を誘うように両手を伸ばすと、一磨はゆっくりとベッドに上り、僕の手を、指を交互に絡ませるようにして強く握った。 「どうだろう……保証はできないかも」  一磨は苦しそうに眉間に皺を寄せると、僕から目を反らしながらそう言った。 「いいよ。じゃあ、好きにして……」  僕は一磨に捕まれた手をぐいっと引っ張ると、一磨と僕の顔は至近距離で見つめ合う。 「ああ、もう……湊って、ヤバい……俺、頭おかしくなりそう……」  一磨は熱い吐息を吐きながらそう言うと、また僕に深いキスを浴びせる。 「ふんっ、はっ……は、んっ、一磨……」  キスをしながら、一磨は僕に自身の昂ぶりを僕の中心にグリグリと押し付け、僕に興奮を知らしめる。僕のそこも一磨と同様に既にかなり昂ぶっていて、今にも破裂しそうだ。 「んあっ、一磨、それ、ヤダっ」  僕はイヤイヤをするように頭を横に振りながらそう言った。 「一回イっとく?」  一磨は僕の耳元に口を寄せてそう言うと、耳の穴に舌を入れてくる。 「ああっ、や、やめっ、擽ったいっ」  僕は体を捩らせて、一磨の舌から逃げようとする。一磨は構わずその舌を耳から首筋へと這わせいくと、僕の着ているトレーナーと肌着を同時に捲り上げ、器用に僕の頭からすっぽりとそれを脱がせた。あっという間に上半身を裸にされた僕は、一磨に自分の体を見られるのが恥ずかしくて、思わず、自分の胸を、両手を交差させながら隠した。でも、そんな抵抗などあっさり一磨に手首を掴まれてしまうことで覆されてしまう。一磨は僕の手首を掴みながら僕の頭上で僕の手を押さえつけると、そのイヤらしい舌を僕の核心部分へとゆっくりと這わせていく。ついに、一磨の舌がそこに到達した時、僕はその、えも言われぬ快感に体をビクビクと震わせた。

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