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第4話

「ああっ、ちょ、か、一磨……それ、んんっ」  一磨は僕の両方の乳首を、まるで、何かに憑りつかれたみたいに、くちゅくちゅと淫猥な音を立てながら執拗に舐め続けた。 「ああっ、や、や、だっ……んっ!」  僕は快感に背中を反らせると、自由になった手で一磨の髪の毛を揉みクシャにしながら、そのねちっこい愛撫に耐える。  一磨はやっと僕の乳首から唇を離すと、今度は、僕の履いているジーンズを脱がしにかかる。僕は昂ぶる自分の中心を一磨に見られてしまうのが恥ずかしくて、股を閉じ僅かに体を横にしてそれを制した。でも、そんな抵抗など一磨の力には敵うわけもなく、一磨は、僕のジーンズのウエスト部分を掴み引っ張ると、下着と一緒に一気に脱がせた。 その時、自分だけがあっけなく真っ裸になっている状況に僕は気づいた。僕は慌ててベッドの上で横向きに体を向けると、恥ずかしさのあまり猫みたいに丸くなって身を隠す。 「な、何で、僕だけ真っ裸なんだよ! は、早く、一磨も脱いで!」  僕は多分耳までも真っ赤にしながらそう叫んでいるに違いない。 「待って……今脱ぐから」  一磨は、熱のこもった目で僕を見下ろしながらそう言った。その目に僕の心臓はバクバクと跳ね上がる。  一磨は僕から全く視線を外さず、執拗に僕見つめながら自分の服を脱いでいく。その強い欲情を内包した官能的な目で、僕をまるで愛撫するかのように。  僕は一磨の視線を浴びながら身を屈めていると、自身の中心から分泌液が溢れ始めているのに気づく。自分のそれが一磨からの愛撫を今か今かと待ち侘びているみたいで、そんな自分の欲情から逃げるように僕は堪らなく目を瞑る。 「ほら、脱いだよ……」  僕はゆっくりと目を開けると、一磨の筋肉で覆われた引き締まった体が目に飛び込んできた。脱いでも北村一磨は文句なく格好いい。僕はうっとりと一磨の身体を見つめていたが、ある一定の箇所で目が止まる。そこには、これでもかといきり勃つ一磨の中心が、強い存在感を放ちながら、僕にまざまざとアピールしてくる。  ああ……どうしようこれ、本当に大丈夫なのかな……。  僕は一磨のサイズを初めて知ってしまったせいで、これからする行為に対する不安がグッと膨れ上がる。  一磨は、僕の上に覆い被さると、僕と一磨の肌はぴったりと重なり合った。僕は一磨の背中に手を回して撫でながら、一磨の木目細かな肌を指先と掌で感じ取る。その滑らかな感触がとても贅沢で心地良い。 「湊……やっと俺たち」  一磨が、歓びと興奮が入り混じった目で僕を見つめながら言った時だった。ベッドサイドに置いていた一磨のスマホが鳴った。  二人同時にスマホの方へ目をやったが、一磨は表情を強張らせながらスマホを無視しようとする。 「一磨……電話でないと」  ずっと鳴りやまないスマホの音に耳を立てながら僕はそう言った。多分、マネージャーからで、この着信のしつこさからして急な仕事が入ったに違いない。 「嫌だ……絶対に出ない」  一磨は喉を潰されたみたいなひどい声でそう言うと、僕が何も言い返さないようにわざと激しいキスで僕の口を塞いだ。 「ふ、んっ、か、一磨っ……ダメ、だってっ」   一磨は、更に自分の昂ぶりを僕のそれにグリグリと押し付け、僕の欲情を再燃させようとする。でも、僕はもう諦めている。今日はもう無理だと。僕は一磨と付き合うと決めた日から、自分で決めたルールがある。それは絶対に一磨の役者としての才能とチャンスに、悪い影響を与えないこと。  一磨はまだ自分の役者としての才能に気づいていない。だからこそ僕が影のマネージャーとなって、一磨を上手く乗せながら、芸能界で成長させていくという密かな野望を持っていることは、一磨には内緒だ。  一磨は絶望的に顔歪ませながら僕を見つめると、諦めたようにベッドの上で胡坐をかいた。そんな一磨に僕は顔を寄せると、『早く電話に出て』と耳元に熱く囁く。  一磨はロボットのような空っぽさで電話に出ると、もの凄く不機嫌な低い声で、『解った』とだけ言った。どうやら、今から有名人気監督が撮る映画の主演オーディションがあるらしく、それに急遽、事務所は一磨を行かせることに決めたらしい。それを聞いた僕は、迷わず一磨に行けと言う。今僕にできることはそれしかないのだから。  僕の言葉に、完全に項垂れてしまった一磨の腕を、僕は掴み膝立ちにさせると、自分も同じ態勢になり、お互いに相手の中心を握り合うよう促す。 「今日はこれで我慢。お楽しみはとっておこうね。一磨……」  僕はそう言ってにっこり笑うと、僕の方から一磨の中心を扱き始める。一磨は切なげに眉間に皺を寄せると、今にも泣きそうな顔をする。 「うっ、湊、湊……はっ、ううっ」  一磨も僕のそれを掴むと、いやらしく親指で先端をグリグリと弄りながら、僕のそれを強く扱く。 「あっ、はあっ、一磨……好きだよ」 「ううっ、はあっ、湊……俺もっ」  僕たち二人は、お互いの中心をぴったりとくっ付けながら扱き合うと、一緒に高みへと上り詰めた。  

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