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「おきないかな〜⋯⋯」 寝息を立てているらしい、かすかに鼻息がかかる。 その時、開けたままの口がぱくぱくと動いた。 さっきとは違う動きで何かを言ったのだけは分かった。 もしかしたら夢を見ているのかもしれない。何を見ているのだろうか。"たーちゃん"のことだから、ままが出ている夢を見ているのだろう。 そう思うのは、ほっぺが上がったように見えたからだ。 内容は分からないけど、楽しそうで良かった。 でも、ぼくが出ていたらいいのにと思ってしまう。 「⋯⋯⋯」 上がっているらしいほっぺをそーっと触った。 ふにっ。 「おお⋯⋯っ」と歓声を上げそうになるのを無理やり口を閉じて堪えた。 何かの気配を感じたのか、不快そうに眉をぎゅっとし、むっと口を閉じていた"たーちゃん"だったけど、眉を戻し、また口を開けていた。 気がつけば止めていた息を吐いて、改めて起きてないのを確認した後、自分のほっぺを触った。 ふに。 「⋯⋯なにかちがうような」 うーん、なんだろう。 その違いは何なのか、また"たーちゃん"のほっぺを触ろうと、指でそーっと触った。 と、その直後、眉間にシワを寄せた"たーちゃん"がゆっくりと目を開けた。 あ、おこしちゃった。 「おはよ」 「⋯⋯⋯」 「たーちゃん?」 「⋯⋯⋯」 機嫌悪そうに眉を潜めたまま目を擦る。 そのままずっと天井を見ていた"たーちゃん"は、やがてゆっくりと目を動かした。 「ま⋯⋯ま⋯⋯」 開口一番に発したたどたどしい言葉は"たーちゃん"らしいなとふっと笑っていた。 と、不意にこちらを見たかと思うと、「⋯⋯ま⋯ま」とぼんやりとした目で言ってきた。 "たーちゃん"は起きてすぐには目が覚めないようだ。 新しい発見だと嬉しくなった。

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