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2章 第7話
イリスの瞳が揺れた。ギルは外にいる騎士に大丈夫だから暫く封鎖してろ、と伝え、そのままベッドへ戻ってきた。イリスは黙ったままだ。
「……」
まだ躊躇いがあるのか、彼の手はギルの素肌にさえ触れてこない。焦れったいやつだ。
「……イリス」
名を呼べばおおげさなほどに身体が跳ねた。彼の腰を掴むと、そのままぐるりと体勢を変えてやる。形勢逆転、今度はギルが上になった。
「君は……僕が食べたくない?」
ぐう、と喉が鳴った。体は正直だ……なんて、どこぞのエロ親父のようなことを考えながら、ギルは彼の服をはだけさせていく。
金色の瞳が、ギルの手を追う。獲物から一瞬も視線を逸らさない。
欲しいくせに、我慢するなよ、なんて。
「……君、思ったより筋肉質なんだな」
「そ、りゃあ……騎士、ですから……」
「ふぅん……すごい腹筋だな?」
あらわになった腹の凹凸を、ゆったりと指先でたどっていく。顔を寄せ、胸の先端に唇を押し当てた。イリスの喉が鳴る。
「……ここは、感じない?」
「……あまり」
「そうか」
舌を突き出してイリスの肌の上を舐めていく。性感帯でもない皮膚の上だが、ラット状態のせいだろう、ひどく興奮して息が乱れている。
下へと移っていく。
イリスを見上げれば、獣の顔をした男がギルを食らいつくように見つめていた。
ぞくりと腰が震える。
腹の奥がひきつるように締め付けられた。じわり、下肢から何かが染み出す。
「……っ、ギルさん」
「なんだ」
「……、メスの、匂い……そんな、興奮したんですか」
「……」
返事ができなかった。こいつ、僕が処女だってこと忘れてないか?
睨みつけるだけにして、ギルはそのまま手を下へとおろす。たどり着いた先では、彼の剛直が下着を窮屈そうに押し上げている。
「……お前こそ、こんなつたない愛撫だけで、こんなに勃起させてるじゃないか」
「……好きな相手にされてるんですよ」
「ははっ……ならもっと、ちゃんと見とけ」
ピン、と指で先端を弾く。ぶるりと震えた肉茎は、太く大きく長かった。……こんなものを相手にするのか?少し腰が引けた。
イリスからの視線がうるさい。仕方ない。咥えれば少しは怖くなくなるだろ。わからないが。
ギルは体の位置を正す。彼の陰茎に、顔を寄せる。舌を出して滴るしずくをぺろりと舐めとった。しょっぱい。まずい。
「……っ、ギ」
「見てろ、て言っただろ」
イリスを止め、陰茎の先にキスを落とす。裏筋にちゅ、ちゅっと吸い付きながら舐め下ろしていく。玉に舌を絡め、そのままプリプリと太ったそれを口に含んだ。
「んッ……ぅ……」
カリの下から竿にかけてを指で扱く。こんなこと、当たり前だがしたことなんてない。薄らと知っている知識を総動員して、なんとかイリスのために舌を這わせた。
「っは……は、は……ギルさんっ……」
ずっしりとした陰嚢の中に、イリスの子種がある。じゅわりと下半身が濡れた気がして自分の浅ましさにくらりとした。口を離す。そろそろ、いいはずだ。
亀頭に吸い付き、ギルはぎこちない動きでちゅうっ、とすする。カリ首を舐めるだけで口の中がパンパンだった。デカすぎる。なんなんだ、これ。
上口蓋の方に亀頭がゴリゴリと押し付けられ、雄の香りと雑味に苦しさだけでなく、息が上がっていく。
「ぅ……ん……ッふ……ンん……ッ」
先端を喉奥へ。ず、ずちゅ。ぐちゅり。ゆっくりと呑み込んでいくと鼻先に彼の下生えが当たり、喉のいちばん奥まで彼を迎え入れる。
苦しさから無意識に喉が締まって、苦しげな音が漏れてしまう。
「ッぅあ……、は、ッ……」
涙が滲む視界で、なんとか咥えているとイリスの甘い声が聞こえてきて驚いた。こんなのでも相当良いらしい。
なんだ、物騒なもん持ってるくせ、反応は年下らしく可愛らしいじゃないか。
「んゔ……っぐ、んぐ……」
可愛らしい反応とは裏腹に大きすぎるそれはギルを苦しませていた。息ができない。このままだと窒息しそうだ。
涙がポロリとこぼれ、これ以上は無理だと判断する。仕方なく口の中からそれを引き抜いた。
「ッは……はぁ……っ、はぁ」
視線をあげる。イリスはどんな顔をしてるんだろう。萎えていないから興奮はしているようだけど……と、確認しようとした時だ。
伸びてきたイリスの手が、ギルの髪を撫でた。頭を撫でると、そのまま手は喉元へ。くるくると獣を撫でるように喉下を甘やかすと、彼は困ったような顔をした。
「……どこで覚えてきたんですか」
「そういう動画」
「……」
イリスの目がギラついている。食い散らかしたいと思ってる目だ。
「……これで一回イくか?」
「……」
黙り込んでる。肯定の意味だろう。勝手にそう取り、ギルは手で陰茎を包む。先程より一回り大きくなってる気がする。まだデカくなるのか……。
大きくなったそれをぬぷぷ……と呑み込む。舌を押しつぶされ、口腔内をずりずりと熱が擦る。
──欲しい。
これが、奥に。腹の奥に、ほしい。
浮かび上がった欲望を、はしたないとは切り捨てられなかった。
再び奥までイリスを咥え、喉を何とか締め付けながら舌をぎこちなく動かす。やっぱり死にそうなほど苦しい。イリスを見上げれば、柔らかく嬉しそうな瞳が見つめていた。
「きもち、いい……です……、っは、いい子です、ね……」
イリスは喉を撫でられた獣のように、居心地がいいと言うように低く笑っていた。どうやら、もう先程のためらいは消えたようだった。
ぢゅるっ、とカウパーごと唾液を飲み込む。陰茎を甘くしゃぶり、喉奥で先端を甘やかす。
「ぁ、う……ッ……ギル、さん……も、出そ、う……」
「……んん゛」
──これ以上は、きっともう戻れなくなる。
どこへ、とか、何に、とかはわからなかった。ただひとつ、そんなことはどうでもいいと思えるほど、ギルはこの男を気に入ってしまっていた。
出せ。いいから。視線を投げ、そのまま喉をきゅうきゅうと締め付けた。イリスの腰が震える。彼の手がギルの頭を弱々しく掴んだ。
「ッあ゛……イ……ぐ、ッ」
びくんっ、と跳ねるとイリスが精を吐き出した。濃いそれは、どこか甘い気がした。
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