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運命に惑うケモミミBL♂ハイスペ愛情深🐺×恋歴難美人オネェ🐱『ロドンのキセキ🌹翠玉のケエス』 Drop.023『 The STAR:U〈Ⅱ〉』 | 醇辰◍JUNTATSU🍶読者さまに感謝✨の小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
運命に惑うケモミミBL♂ハ...
Drop.023『 The STA...
作者:
醇辰◍JUNTATSU🍶読者さまに感謝✨
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Drop.023『 The STAR:U〈Ⅱ〉』
法雨
(
みのり
)
の案内に従い駐車した
雷
(
あずま
)
は、法雨と肩を並べながら車のトランクを開けた。 「――あ、こちらのバッグは、着替え用ですか?」 その雷から、預けていた大荷物を受け取る中、トランクの隅に佇む大ぶりなバッグを示し法雨が問うと、雷は穏やかに応じた。 「ん? ――あぁ。そうです。――よく分かりましたね」 「なるほど。――まさに、ご推察の通りです。――流石、一度お話ししただけの事でしたが、よく覚えてらっしゃいますね」 「ふふ。――店長なんてしておりますと、勝手に覚えてしまう事も多いもので」 感心した様子の雷に、はにかみ笑むと、法雨はさらに続けた。 「――でも、着替えもお持ちなら、安心しました」 「――? ――“安心”? ――……雨の事ですか?」 それに、はてと不思議そうにした雷が問うと、法雨は、随分と満足そうに笑んでは言った。 ― Drop.023『 The STAR:U〈Ⅱ〉』― 「――実は、今。――うちには、美味しいお酒も、勢揃いしているんです。――ですから、――“着替えをお持ちなら安心だな”、と」 「――………………」 法雨が、そう言いながら、今しがた閉められようとしていたトランクリッドにそっと触れ、留めるようにすると、雷は一度黙し、困惑した様子を見せながら、ぎこちなく言った。 「――その……、――“この通り”……なので……」 そして、雷は、法雨と同じく車体に添えたままの左手でトランクリッドをわずかに揺らすと、“帰路にも車を使用する”旨を示すようにした。 しかし、そんな雷にも笑顔を崩さぬままの法雨は、その繊細な指先でトランクリットをつんと持ち上げては言う。 「――えぇ。それはもう“この通り”、――しっかりと存じ上げておりますわ。――でも、“今晩中にお帰りにならなければ”、問題のない事ではありません? ――奇遇にも、“着替えまでお持ち”ですし」 「――………………ですが……」 そんな法雨に雷は躊躇うが、その彼の心を知ってか知らずか、法雨は言った。 「――もう、――そんなに緊張なさらないでくださいな。――大丈夫ですよ。――お客様には、“おひとりで”安心して寝泊まり頂ける専用のお部屋がちゃんとありますから。――“捕って喰ったり”なんてしませんわ」 そうして、悪戯っぽく笑んだ法雨に言われた雷は、それから随分と長い沈黙を挟みはしたものの――、その間、延々と法雨に見つめられていたためか、結局は白旗を振ると、 「――分かりました……。――では、“大いに”お言葉に甘えて、――“コレを連れて”、お邪魔しますね……」 と、己への溜め息を交じえながら言うと、本日の出番はないはずであった“連れ”を、トランクから連れ出した。 すると法雨は、そんな雷に満足げに笑み、 「ふふ。――嬉しいですわ。――それでは、参りましょ」 と言うなり、雷にくるりと背を向けると、日中の滝行によりボサついた尾を上機嫌に揺らしながら、エレベーターに向かって歩き出した。 雷は、その――随分とご機嫌に歩く後ろ姿を見やりながら苦笑し、今一度、己への溜め息を静かにつくと、トランクを閉め、法雨の後に続いた。 その間――、眼前でゆったりと振れ続けるしなやかな尾に理性を試されながら、雷が何度も自制の念を唱えていた事など、この時の法雨は知る由もなかった。 💎 「――いかがです? ――お口に合いますかしら?」 念に念を重ねながら法雨の後に続き、妙に緊張した面持ちで法雨の家へと足を踏み入れた雷ではあったが――、それからしばらくして、テーブルに勢揃いした法雨の手料理を頂き始めてからは、その硬い緊張を徐々に解いていった。 そんな雷に法雨が問うと、彼は、穏やかに笑んで応じる。 「はい。とても美味しいです。――それと、こちらの
瓊本
(
にほん
)
酒とも凄く合いますね」 法雨は、その雷の言葉に、嬉しそうに笑む。 「まぁ、それは良かった。――お酒にも合うようにと思って作ったので、そう言って頂けると、とても嬉しいですわ」 そして、自身もキンと冷えたグラスに口をつけると、法雨は、その――清涼水のように透き通った味わいを上品に愉しんだ。 そんな法雨は、しばしの雑談の後、ふと気になった事を、雷に尋ねてみる事にした。 「――あ、そうです。雷さん。――実はアタシ、雷さんのお仕事の事で、少し気になっていた事があったのですけど……。――お尋きしてみても、よろしいですか? ――もちろん、答えたくない事でしたら、そのように仰って頂ければと思うのですが」 雷はそれに、穏やかに微笑んで応じる。 「えぇ。大丈夫ですよ。――どんな事でしょうか」 法雨は、そんな雷にひとつ礼を添えると、続けた。 「――えっと、――雷さんは、探偵になられる前、警察機関にいらしたとの事でしたけれど……、――アタシ、警察を辞められてまで探偵になられた理由が、どうしても気になってしまって……。――その、本当に不躾な質問で、恐縮なのですが……」 そして、問いながら法雨が恐縮すると、雷は変わらぬ穏やかさで応じた。 「あぁ。ははは。なるほど。――その事でしたか。――そうですね。――先に言ってしまうと、そんな大層な理由はないのですよ。――なので、壮大な物語でなくてもよろしければ、お話ししますよ」 法雨は、その返答にしばし子供の様に目を煌めかせると、言った。 「本当ですか? ――雷さんさえよろしければ、ぜひお伺いしたいです」 そんな法雨の様子に愛らしさを感じたのか、雷は、 「ははは。分かりました」 と、楽しげに笑うと、ひとつ酒を頂いた後、紡ぎ出した。 「――俺は、目の前に困っている人が居るならば、すぐに手を貸したい性分なのです。――もちろん、この世の何処かで起こっているかもしれない犯罪を捜査する事も、既に生じてしまった事件の真相を突き止め、犯人を捜し出す事も、非常に大事です。――ですが、それらの任に従事している最中だからと、――目の前で困っている人に一秒たりとも手を貸せない環境は、俺には耐えられなかった」 そう語る雷は、そこでしばし物悲しげに笑むと、水滴を煌めかせている小ぶりなグラスを見つめては続けた。 「――例えば、目の前で大切なブローチを失くして困っている女の子が居たならば、その宝物を一緒に探してやりたい。――例えば、大きな音に驚いた愛犬が、飼い主の手を離れてしまい、公園内のどこかへ逃げ込んでしまったのなら、一緒に探して、その愛犬を飼い主の元に帰してやりたいのです。――ですから、――その眼前の“小さな大事”に対し、“今は構っていられない”としなければならない事が、俺にとっては苦痛でした。――だから、集団で動く環境が合う者たちが集団で出来る事をする中、俺は、自分に合った、個人でしかできない事をしようと、――そう思うに至ったのです」 「そう、だったのですね……。――では、それが、警察をお辞めになって、探偵になられた理由……」 「――そうです。――期待に応られる様な理由でなくて、恐縮ですが」 法雨は、そうして己について紡いだ雷が、ひとつ照れくさそうに苦笑すると、ゆっくりと首を振って言った。 「いえ、とんでもありませんわ。――とっても素敵な理由です。――それに、そうして雷さんが探偵になってくださったから、アタシも、
京
(
みさと
)
たちも、雷さんに救ってもらえたんです。――特に、京たちの事については、アタシの場合、ただあの子たちの欲求を受け入れて、許容してあげる事しか出来なかった。――ですから、あの子たちが闇に堕ちてゆくのを止められたのは、雷さんが手を貸してくださったからです」 法雨は、水滴で曇ったグラスを親指で撫で、楕円の窓を作ると、続けた。 「――もし、あの子たちがあのままアタシを“食べ”続けて、最終的にアタシに飽きてしまったら、今度はまた別の人に同じ事をと、その行いを繰り返す様になっていたかもしれない。――でも、あの時あそこに雷さんが来てくださったから、あの子たちは、“獣”から“人”に戻れたんです。――ですから、これだけの大勢をも救う未来まで作った理由ですから。――本当に、とってもとっても、素敵な理由ですわ」 雷は、そう言い微笑んだ法雨に、穏やかな笑顔と礼を返す。 「ありがとうございます。――そう言って頂けると、嬉しいです」 「ふふ。こちらこそ。――お教えくださって、ありがとうございました。――大満足です」 「ははは。――それなら良かったです」 そして、礼を贈り合った雷と法雨が、二人でまたしばし笑い合った後――、ひとつ、思う様にして間を置いた雷は、ふと、法雨の名を呼んだ――。 Next → Drop.024『 The STAR:U〈Ⅲ〉』
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