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第6話

眼鏡をかけた長髪の赤い髪の男。彼はウォルト殿下の補佐官をしているマリウス卿だ。 「婚約者をお守りするようにウォルト皇太子殿下から直々に頼まれましたので」 「貴方ほど優秀な補佐官はいないというのに」 「私よりも優秀な側近は大勢いますからね。私一人抜けたところでさほど変わりませんよ」 にこっと微笑むマリウス卿。 「ユ―リさまのお姿が見えませんが?」 「環境の変化に体が追い付かず、その上この寒さだ。体調を崩して横になっている。そっとして置いてほしい」 「婚約者がいる身で、ユ―リさまと同じ寝室で寝ているのはどうかと思いますよ」 「なんでそれを……」 「やたらとお喋りな鳥がいましてね」 思い当たるのは一人しかいない。 「マリウス卿、それにはちゃんとした理由がある」 「聞かなくても分かりますので仰らなくてもいいです」 マリウス卿は孤児で教会の孤児院で育った。ウォルトを助けたことがあり、その功績により近習として皇宮に迎えられた。それからずっとウォルトに仕えている。ウォルトにだけ忠実で、側から片時も離れたときがなく、侍従関係というよりはなんでも言い合える弟のような存在だ。皇太子の補佐官は伯爵家以上の爵位がないと任命されないという決まりがあるが、マリウス卿には爵位がない。慣例をはじめて破ることになった。 実のことをいうとマリウス卿が苦手だ。笑顔の下にとんでもない腹黒さをもっているからだ。敵にまわしたら一番厄介な存在だ。触らず近寄らず。適度な距離を保っていたのに、まさか向こうから来るとは。ウォルトのやつ、一体何を考えているんだ。

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