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第13話
「あ、でも……」
「疲れたのだろう。マリウス、ユ―リをさまのエレンさまのところにお連れしろ」
「分かりました」
「レイのことは心配するな。きみより婚約者であるこの俺がレイの側にいた方が彼も安心する」
なぜかユ―リにだけは当たりが強いウォルト。普段の物腰の柔らかい口調とは違い冷淡な口調になる。ユ―リに優しくしてくれ、頼むから。無意識のうちに手を伸ばしたら、
「俺のものに気安く触れないでほしいものだ。そうだ、消毒をしておかないと」
チュッと軽く手の甲にキスをされて、そのままぎゅっと抱き締められた。突然のことに頭が真っ白になる。婚約者のフリじゃなかったのか。パニックに陥る前に俺はストンと眠ってしまった。
ウォルトと俺は小さい頃に出会った。王宮から追放された俺と、皇宮から国外に追放されたウォルト。俺たちを引き取り育ててくれたのは父の従兄弟で当時北部地方を治めていたハンス公爵だった。なぜ第一皇子であるウォルトが皇宮を追われ隣国に追放されたのか、その理由は……。
……あたたかい。
ウォルトの手はいつも冷たい。身も心も凍りついている、血も涙もない冷血氷皇子だとみながそう言っている。でもウォルトをそうしてしまったのは俺なのかもしれない。
ウォルトは氷魔法の使い手ではない。彼は火を自由自在に操ることが出来る魔法を持って生まれた。炎を操る彼をまわりが怖がるようになり、それが原因で国を追われた。なんでこんな大切なことを忘れていたんだろう。
「レイは悪くない。きみを守れ切れなかった俺が悪いんだ」
うわ言のように呟くと吐息が額に触れてきて。唇を軽く押し当てられた。口づけをされた。手の甲でなく、額に。不意打ちに驚いてそれで一気に目が覚めた。
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