25 / 43

第25話 家族が覗きに

ドヤドヤと入って来た家族……まったく、もう~。 俺のはちみつのような時間を邪魔しに来たな。 母「颯太君の具合はどうなの?」 父「心配な状況らしいじゃない」 楓「ちょっと顔を見せてよ」 淳一「そうだよ、もうあきらめなよ」 ふう~。とため息をついた。しょうがない。 颯太の所へ行き、 「あのね、俺の家族が来ちゃったんだよ。なんか颯太に会いたいんだって。連れてきていい?」 驚いた様子だが、こんなに急じゃ断りようがないな。 うんと頷いた。 「颯太がOKだって」 皆がにやっとして寝室に向かった。 母「こんにちは。颯太君お加減はどうですか?陽一の母の美奈子です。初めまして」 颯太がにこっと微笑んでうなずいた。 父「颯太君、具合はどうですか?父の啓介です。よろしくね」 楓「颯太君、急に押しかけてごめんね。両親が凄く颯太君に会いたいって言うから連れてきちゃったのよ」 はいはいと頷きながらも、颯太は笑顔でタイピングした。 <皆さん。始めまして。ご心配を頂きありがとうございます。院長先生には大変お世話になってありがたいです。今後ともどうぞよろしくお願いします> そしてタブレットを皆に差し出して見せた。 父「うん、颯太君は声が出ないんだってね。でもきっと大丈夫だから、ゆっくりと静養すると良いよ」 母「そうですよ。焦らないでゆっくりね。陽一が良~くお世話をすると思うから、甘えてね」 何を余計なこと言ってるんだよ。全く‥‥‥。 楓「お兄ちゃん、お雑煮食べてたの?なんか美味しそうねえ~」 母「あらホント。颯太君、お雑煮は美味しかった?」 また微笑んで打った。 <はい、とても美味しかったです。先生はいつもおいしいのを作ってくれるからうれしいです> ふ、そうなんだ。よしよし。 父「陽一、まだお雑煮はあるか?あれば俺もちょっと食べたくなったな」 母「そうですね。ちょっとお腹が空きましたね」 楓「私も食べたい」 淳一「俺も」 もう~せっかく颯太の為に作ったのに。 「わかったよ。じゃあ、皆ダイニングに来て」 俺はさっさとキッチンに行った。 颯太がずっと皆の相手をするとまた熱を出すぞ。 離れさせないといけない。 大鍋を温めた。 「みんなお餅は2個ずつでいい?もうそれしかないからさ。足りないならすいとんを入れるよ」 楓「良いよ。でもすいとんもおしそうねえ~」 「わかったよ。すいとんも入れるよ」 強力粉と薄力を混ぜて水で軟らかめに練った。 これをスプーンで鍋に落としていく。 だし汁が少し濁るが、すいとんに出し汁の味がしみてうまい。 だし汁をいっぱい作っておいてよかったよ。 でも白菜と大根は追加だな。 ラスト5分となってお餅を焼き始めた。 どんぶりを用意して割り箸を出した。 お餅も焼けた。 最後に三つ葉を切って少し乗せた。 良し。 「はい、出来ましたよ」 楓「わー美味しそう!」 母「本当、美味しそうねえ」 淳一「じゃあ、いただきます!」皆が声を揃えた。 父が食べ始めた。 「陽一、これ凄いじゃないか?うまいよ」 母「本当、なんでこんなに美味しいの?だしの取り方がうまいのかしら」 楓「やっぱりすいとんが抜群だね。すごく美味しい」 淳一「いや~颯太君は幸せだよねえ。兄貴にこんなにうまいものを作ってもらえるんだもんなあ」 ホントホントと相槌を打ちながら、皆せっせと食べていた。 俺もすいとんだけちょっと食べようかな。 お椀に最後の残りを全部よそった。 結局、その世はカンファレンスなしで、食べて終わりだった。 要は颯太の顔を見に来ただけなんだな。 オメガだから余計に見たかったんだろうな。 まあ、滅多にいないんだからしょうがないか。 母もオメガだから相当親近感を持ったのかもしれない。 だけどまだ18歳だよ。 ヒートも来ない子供に何するって言うんだよ。 いかんいかん。邪悪な考えは捨てよう。

ともだちにシェアしよう!