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第25話 家族が覗きに
ドヤドヤと入って来た家族……まったく、もう~。
俺のはちみつのような時間を邪魔しに来たな。
母「颯太君の具合はどうなの?」
父「心配な状況らしいじゃない」
楓「ちょっと顔を見せてよ」
淳一「そうだよ、もうあきらめなよ」
ふう~。とため息をついた。しょうがない。
颯太の所へ行き、
「あのね、俺の家族が来ちゃったんだよ。なんか颯太に会いたいんだって。連れてきていい?」
驚いた様子だが、こんなに急じゃ断りようがないな。
うんと頷いた。
「颯太がOKだって」
皆がにやっとして寝室に向かった。
母「こんにちは。颯太君お加減はどうですか?陽一の母の美奈子です。初めまして」
颯太がにこっと微笑んでうなずいた。
父「颯太君、具合はどうですか?父の啓介です。よろしくね」
楓「颯太君、急に押しかけてごめんね。両親が凄く颯太君に会いたいって言うから連れてきちゃったのよ」
はいはいと頷きながらも、颯太は笑顔でタイピングした。
<皆さん。始めまして。ご心配を頂きありがとうございます。院長先生には大変お世話になってありがたいです。今後ともどうぞよろしくお願いします>
そしてタブレットを皆に差し出して見せた。
父「うん、颯太君は声が出ないんだってね。でもきっと大丈夫だから、ゆっくりと静養すると良いよ」
母「そうですよ。焦らないでゆっくりね。陽一が良~くお世話をすると思うから、甘えてね」
何を余計なこと言ってるんだよ。全く‥‥‥。
楓「お兄ちゃん、お雑煮食べてたの?なんか美味しそうねえ~」
母「あらホント。颯太君、お雑煮は美味しかった?」
また微笑んで打った。
<はい、とても美味しかったです。先生はいつもおいしいのを作ってくれるからうれしいです>
ふ、そうなんだ。よしよし。
父「陽一、まだお雑煮はあるか?あれば俺もちょっと食べたくなったな」
母「そうですね。ちょっとお腹が空きましたね」
楓「私も食べたい」
淳一「俺も」
もう~せっかく颯太の為に作ったのに。
「わかったよ。じゃあ、皆ダイニングに来て」
俺はさっさとキッチンに行った。
颯太がずっと皆の相手をするとまた熱を出すぞ。
離れさせないといけない。
大鍋を温めた。
「みんなお餅は2個ずつでいい?もうそれしかないからさ。足りないならすいとんを入れるよ」
楓「良いよ。でもすいとんもおしそうねえ~」
「わかったよ。すいとんも入れるよ」
強力粉と薄力を混ぜて水で軟らかめに練った。
これをスプーンで鍋に落としていく。
だし汁が少し濁るが、すいとんに出し汁の味がしみてうまい。
だし汁をいっぱい作っておいてよかったよ。
でも白菜と大根は追加だな。
ラスト5分となってお餅を焼き始めた。
どんぶりを用意して割り箸を出した。
お餅も焼けた。
最後に三つ葉を切って少し乗せた。
良し。
「はい、出来ましたよ」
楓「わー美味しそう!」
母「本当、美味しそうねえ」
淳一「じゃあ、いただきます!」皆が声を揃えた。
父が食べ始めた。
「陽一、これ凄いじゃないか?うまいよ」
母「本当、なんでこんなに美味しいの?だしの取り方がうまいのかしら」
楓「やっぱりすいとんが抜群だね。すごく美味しい」
淳一「いや~颯太君は幸せだよねえ。兄貴にこんなにうまいものを作ってもらえるんだもんなあ」
ホントホントと相槌を打ちながら、皆せっせと食べていた。
俺もすいとんだけちょっと食べようかな。
お椀に最後の残りを全部よそった。
結局、その世はカンファレンスなしで、食べて終わりだった。
要は颯太の顔を見に来ただけなんだな。
オメガだから余計に見たかったんだろうな。
まあ、滅多にいないんだからしょうがないか。
母もオメガだから相当親近感を持ったのかもしれない。
だけどまだ18歳だよ。
ヒートも来ない子供に何するって言うんだよ。
いかんいかん。邪悪な考えは捨てよう。
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