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第35話 ホルモン療法

三日後の予約日に病院へ行った。 血液検査を精査したところ、やはりオメガに間違いないという結果だった。 中学の時の検査は、ホルモンがまだ少なく、 恐らく“境界線上”だったのだろうという説明に、颯太も納得した。 そのままホルモン治療を始めることになった。 「気長にゆっくりやってくださいね」 友永先生にそう言われ、飲み薬と座薬を受け取った。 次の予約は1か月後だ。 検査結果と治療方針は家族にも共有した。 皆が応援してくれている。 早く身体を丈夫にしてやりたい。 颯太の気持ちも分かったし、 前よりいっそう“くっついて過ごす”時間が増えた。 何しろ、颯太のホルモンを増やさないといけない。 颯太の耳元でそっとささやいた。 「お腹のマッサージの後は続行だからね。ホルモンを増やさないといけないもんね」 颯太は一瞬で真っ赤になった。 かーわいい。 我慢できずに抱き寄せて、頬にキスをした。 また恥ずかしそうにうつむく。 ……もう、完全に羊状態だ。 ああ〜こっちが萌える。 「颯太、昼食の後でマッサージするからね。いいかな?」 俯いたまま頷いた。 もう~楽しみすぎる。 さて、今はパソコンタイム。 「颯太、メニューはできたかな?」 朝食の後、颯太はせっせとパソコンに向かっていた。 今日からパソコンはリビングの窓際に移し、 二人で並んで作業することにした。 机は病院の倉庫にあった会議用の長机。 二人で使うにはちょうどいい。 颯太が「入試を思い出す」と笑っていたっけ。 ここで並んでいれば、お互いに何をしているか分かる。 ひと時も離れたくない。 プリンターも移動してきた。 院長としての事務仕事もここでやっている。 それにしても、家族から盛んにメールが届く。 俺と颯太がどう進展したか知りたいらしい。 そう簡単には教えられない。 それでも各自がメールを送ってくるから面倒だ。 家族全員の意見をまとめて一回だけ送っていい、と楓に伝えた。 これで返事は1回で済む。 横で颯太が時々くすっと笑いながら打っている。 「どうしたの?」 すぐにメールが来た。 <メニューを考えるのが楽しい。でもいっぱい書いたら先生を困らせるかなあ?と思ったら笑った> ふふっ。 「なるほど。なんでも書いていいよ。分からなかったらネットで調べて作るよ」 「……いや、待てよ。颯太に作ってもらおうかな?」 “ええーー?”と俺の方を見る。 「あれ、どうしたの?」 <だって俺、料理は作れないんです> 「へえ〜そうなんだ。じゃあ、今度一緒に作ろうか?」 うんうん、と笑顔で頷いた。 「じゃあ、もうすぐお昼だけど、これは俺が作るよ。何が食べたい?」 <お任せでお願いします> 「うん、わかった。じゃあ今から作るね。颯太はメニューを書いててね」 笑顔で敬礼された。 キッチンで冷蔵庫を開ける。 ……よし、パスタにしよう。 合いびき肉で作ったミートボールと、 野菜を煮込んだトマトシチューをパスタにかける。 それとサラダ。 食事も全粥から普通食になった。 お腹をマッサージすると夕方あたりに反応がある。 素敵だ。 良し、できた! 「颯太、ご飯ができたよ」 ……と言える幸せを満喫中。 颯太がにこっとして手を止め、ダイニングへ来た。 カレー皿にパスタをよそい、シチューをかける。 サラダはシーフードサラダにフレンチドレッシング。 手製だけど……もしかしてマヨネーズ系の方が好きだったりして? 「颯太、サラダのドレッシングは何が好き? それ、メニュー表に書いてある?」 あっ、という顔をして、ううんと横に振る。 「じゃあ、書き足しておいてね」 頷いた。 「さあ、食べよう」 二人で手を合わせる。 颯太は早速ミートボールを食べていた。 好きなんだ……かわいい。 右の頬に手のひらを当てた。 二人で覚えた“美味しい”の手話だ。 良かった。 颯太と一緒に食事ができるって、なんて幸せなんだろう。

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